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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
薄暗い廊下で、声を潜めながら泉は薫に話しかける。
「…ベッドに入られたらすぐにお寝みください。シャワーを浴びて身体が冷えられていますから…」
薫はややはにかみながら、泉を見上げる。
「うん。…あの…泉の下着は…どうしたらいい?」
精に塗れた身体のまま、薫をベッドに戻すわけにはいかないと、泉は薫を階下に案内した。
二階の主人用のバスルームを使ったら、男爵夫妻に気づかれるかもしれないと思ったのだ。
階下の使用人用のシャワー室で身体を流したはいいが、下着の替えがなかった。
薫の衣装部屋は二階の寝室の奥だからだ。
…私のでよろしければお穿きください。少し大きいかも知れませんが…。
そう言って自室から持ってきた泉の下着は濃紺の大人のものだった。
…泉の下着…。
薫はドキドキしながらそれを身につけた。
やはりかなり大きかったが、妙に興奮した。
泉は思わずを笑いを漏らす。
「明日の朝、そっとベッドの下に置いておいてください。回収しにまいります」
「…うん…ありがとう」
泉はそっと手を伸ばす。
薫の柔らかな白い頬に一瞬だけ指先が触れ、やがて離れた。
「…お寝みなさいませ、薫様」
手に持ったランプの灯りに照らされた泉の貌は、彫像のように整い、しかしどこか哀しげだ。
姿勢の良い後ろ姿を見せながら、立ち去ろうとする泉を呼び止める。
「…泉、待って!」
泉が振り返った刹那、薫がぶつかるように抱きついて来た。
「薫様…」
薫は泉を離すまいと背中に手を回し、ぎゅっと力を入れる。
「…大人になっても僕の気持ちは変わらないよ。…もし、その時も泉が今の気持ちのままだったら…僕が泉を夢中にさせてみせる!僕にメロメロにさせてみせる!恋人にしなきゃ損だって思わせてみせる!」
…だから…泉を好きでいていいでしょう…?
と、最後は頼りなげな表情をして、見上げる。
「…薫様…」
泉は薫の華奢な身体を一度だけ強く抱きしめた。
腕を解く刹那、薫は背伸びをして泉の唇にキスをした。
…そして…
「…お寝み、泉。…今夜のことは一生忘れないよ…」
そう囁くと、静かに寝室のドアを開け中に消えて行った。
薫の白い寝間着の残像が仄かに残る中、泉は呟く。
「…私も…忘れません…一生…」
「…ベッドに入られたらすぐにお寝みください。シャワーを浴びて身体が冷えられていますから…」
薫はややはにかみながら、泉を見上げる。
「うん。…あの…泉の下着は…どうしたらいい?」
精に塗れた身体のまま、薫をベッドに戻すわけにはいかないと、泉は薫を階下に案内した。
二階の主人用のバスルームを使ったら、男爵夫妻に気づかれるかもしれないと思ったのだ。
階下の使用人用のシャワー室で身体を流したはいいが、下着の替えがなかった。
薫の衣装部屋は二階の寝室の奥だからだ。
…私のでよろしければお穿きください。少し大きいかも知れませんが…。
そう言って自室から持ってきた泉の下着は濃紺の大人のものだった。
…泉の下着…。
薫はドキドキしながらそれを身につけた。
やはりかなり大きかったが、妙に興奮した。
泉は思わずを笑いを漏らす。
「明日の朝、そっとベッドの下に置いておいてください。回収しにまいります」
「…うん…ありがとう」
泉はそっと手を伸ばす。
薫の柔らかな白い頬に一瞬だけ指先が触れ、やがて離れた。
「…お寝みなさいませ、薫様」
手に持ったランプの灯りに照らされた泉の貌は、彫像のように整い、しかしどこか哀しげだ。
姿勢の良い後ろ姿を見せながら、立ち去ろうとする泉を呼び止める。
「…泉、待って!」
泉が振り返った刹那、薫がぶつかるように抱きついて来た。
「薫様…」
薫は泉を離すまいと背中に手を回し、ぎゅっと力を入れる。
「…大人になっても僕の気持ちは変わらないよ。…もし、その時も泉が今の気持ちのままだったら…僕が泉を夢中にさせてみせる!僕にメロメロにさせてみせる!恋人にしなきゃ損だって思わせてみせる!」
…だから…泉を好きでいていいでしょう…?
と、最後は頼りなげな表情をして、見上げる。
「…薫様…」
泉は薫の華奢な身体を一度だけ強く抱きしめた。
腕を解く刹那、薫は背伸びをして泉の唇にキスをした。
…そして…
「…お寝み、泉。…今夜のことは一生忘れないよ…」
そう囁くと、静かに寝室のドアを開け中に消えて行った。
薫の白い寝間着の残像が仄かに残る中、泉は呟く。
「…私も…忘れません…一生…」