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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
泉は階下の自室に降りると、どさりとベッドに腰を下ろした。
薫の前ではどうにか冷静に体裁を保てたが、1人になるともう駄目だ。
薫の吐精した時の甘く掠れた叫び声が耳について離れない。
しがみついてきた身体の震え…何より寝間着越しに伝わってきた薫の精の熱さ…。

…薫様!
泉は溜息を吐く。
…いつの間に、あんなに大人になられたのだ…。
まだまだ子どもだと思っていたのに…。

泉にとって薫は我が子同然だ。
生まれた時からずっと片時も離れずに世話をして、愛でてきた。
薫の成長が何よりも楽しみだったのだ。

…それなのに、泉は薫の禁断の性に触れてしまった。
泉は薫のまだ幼い花茎に己れの性器を擦り付け、初めての吐精へと導いてしまった。
いくらせがまれたこととはいえ、断るべきであった。
してはならないことであった。

相手が主人だからではない。
身分違いに怯む泉ではなかった。
かつては雇い主の令嬢と駆け落ちまでしたのだ。
暁をずっと慕っているのもそうだ。

薫に触れたくないのは、禁忌の感情が強く泉の中にあるからだ。
まるで我が子のように育ててきた相手を性的対象として捉えることに恐れがあった。
…だが薫に一度触れてしまうと…それはあまりにも甘美な禁断の果実であったことが分かった。

階下のシャワー室で、一糸纏わぬ姿の薫を丁寧に洗った。
…薫の裸を見るのは久しぶりであった。
昔は泉がいつも入浴の世話をしていたのだ。
久しぶりに見る薫の身体は少年の造形を刻みつつも、少しずつ大人の身体へと移行を始める端境期にあるようだった。
…透き通るように白い肌、華奢な長く美しい手足、胸の飾りは硬い紅梅の蕾のようだ。
…そして下腹部にある鴇色のまだ幼い花茎…。
淡い茂みすらもない慎ましやかなそれを、泉は優しい洗ってやる。

「…あ…っ…!」
幼い性器が泉の手の中で硬くなる。
勃ち上がるまではいかないが、男の手の中で脈打つそれを泉はわざとゆっくり丹念に洗った。
シャワーの雨の中、薫が身悶え、全裸のまま抱きついてきた。
「…すき…だいすき…泉…!」
薫のほっそりとした腕に引き寄せられ、唇が重ねられた。
「薫様…!」
戦慄く柔らかな唇を、気がつくと貪るように奪っていた。
スコールのようなシャワーの雨に打たれながら、二人は恋人同士のようなくちづけを交わした。
…今だけ…今だけだ…。
胸の内で呟きながら…。


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