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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
…薫様は美しい…。
暁様に酷似した息が詰まるほど精巧な人形のような美貌…。

まだ幼いながら、男を骨抜きにするような妖しげな色香…無意識の淫蕩な眼差しや表情、仕草、声に抗うことができなかった。

薫は初めての性的衝動に動揺していた。
下肢の昂りに悶え、泉に縋りつき、快感を訴えてきた。
泉はその身体を抱きしめながら、密やかな喜びに打ち震えた。
薫の精通を導くことで、初めての男になったような倒錯じみた感情を覚えたのだ。
あのまま薫の身体を組み敷き、蹂躙し、我が物にしなかったのは辛うじて残っていたほんの僅かな理性があったからに過ぎない。
…けれど、次は…。

…自分は最後まで、彼を拒み続けることが出来るのだろうか…。
泉自身は兄、月城のように忍耐強くは決してない。
寧ろ激情に流されがちな性格である。

…今夜、薫様を拒めたのは奇跡のようなものだ。

泉は首を振り、立ちあがる。
窓を開け、夏の夜のやや湿度の高い夜風を吸い込む。
薄荷のような空気が頬を撫でる。

…けれど、次は…。

…そうして泉はいつまでも暗闇を見つめ続けていたのだった。
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