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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
客間に案内されてからは、鷹司は二人を陽気に思い切り歓迎してもてなした。
ランチは美しく整えられた庭園で、ビュッフェスタイルで楽しむ趣向だった。
ふんだんに彩り豊かに取り揃えられた食欲を唆るフレンチやイタリアンの肉料理、魚介料理の数々‥。仔羊のロースト、オマール海老…。
ランチにしては豪華絢爛なメニューの数々だ。
とりわけ目を引いたのは、デザートの豊富なバリエーションだ。
数種類のケーキにパイ、宝石のようなチョコレート菓子、プディング、ゼリー、マシュマロ、メレンゲ、キャンディボンボン、マカロン、アイスクリーム…。

薫は眼を見張る。
虫歯の心配をする光が厳しく眼を光らせているので、普段はこんなに甘い物を食べさせて貰えないからだ。
「すごい!まるでお菓子の家だ!」
無邪気にはしゃぐ薫に鷹司は眼を細める。
「…フフ…。意地悪な魔女には気をつけて…」
薫はメインデッシュそっちのけでデザートを皿に盛り、ご満悦だ。
暁人が窘める。
「薫、ちゃんと食事をしてからじゃないとだめだよ」
鷹司がワインを飲みながら小さく笑う。
「大紋は優等生だな。…いいじゃないか、たまには。子どもには毒な楽しみも必要さ」

鷹司は殆ど食べずにワインばかりを水のように飲んでいる。
暁人は眉を顰める。
暁人の母、絢子は光ほどには厳しくないが飲酒は絶対に許さなかった。
許されるのはクリスマスのシャンパン…と言う名のシードルとお正月のお屠蘇だけだ。
暁人の硬い眼差しを受け、鷹司は可笑しそうに笑った。
「君はお堅いんだな。…薫とは正反対だね。でも仲良しだな」
薫はちらりと暁人を見て、さもないように答える。
「暁人とは生まれた時からの幼なじみで腐れ縁なんです。…でも性格も違うし…。暁人は礼儀正しくて、品行方正で、何でも出来て…僕と大違いだって、いつもお母様に言われます」
…ついてないや…と嘯いた薫に暁人は酷く傷ついた表情をした。
しかしすぐに、はっきりとした声で言った。
「でも僕は、薫が大好きです」

薫がぽかんとした貌をする。
「なんだよ、急に…」
伝わらない気持ちの淋しさを振り払うように、暁人は猛然とステーキを口に運ぶ。

それを興味深げに眺めていた鷹司が、陽気に提案した。
「…食事が済んだら遠乗りに行こう。君たちに見せたい場所がある」



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