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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
鷹司はふっと表情を和らげ、にやりと底意地悪く笑った。
「…ああ、そうだったね。…君は薫に恋しているんだったね。でもこの生意気で勝ち気で跳ねっ返りの美少年は君なんか眼中にない。彼はもっと大人な男に、君が恋い焦がれる身体を弄らせた…可哀想にね」
薫が叫ぶ。
「…な、なんでそれを⁉︎」
叫んでから口を覆う。
鷹司はふらりと薫の前に歩を進め、さっとその腕を引き寄せ自分の胸の中に抱き込んで笑う。
「魔女はなんでもお見通しなのさ。可愛い僕のグレーテル」
「…⁉︎」
驚く薫と同時に暁人が立ち上がり、気色ばむ。
「薫に触らないで下さい!」
鷹司が愉快そうに笑う。
「君にそんなこと言う権利があるの?薫は僕と君なら同じような感情しか持ち合わせてないはずだよ?ご愁傷様」
暁人が悔しげに唇を噛みしめる。
「ねえ?薫?そうだよね?」
鷹司が薫を抱きしめたまま、顎を持ち上げくちづけするほどの距離まで近づく。
「…ちょっ…⁉︎」
暁人が鷹司を睨みつける。
「薫を放して下さい!僕は以前から先輩が薫にちょっかいをかけるのが許せなかったんです!もう、これから薫に手を出すのは止めていただけませんか?」
鷹司はふっと笑う。
「…面白い。君がそこまで薫を想っているのなら、証拠を見せてくれ」
「証拠?」
鷹司は窓の外を指差す。
「…今から馬に乗って、あの山小屋に行ってみろ」
暁人より前に、薫が叫び出す。
「なに言ってるんですか⁉︎雨が降り出して…しかも夜ですよ⁉︎吊り橋もあったし!」
「僕は何度も行けたよ。あの山小屋に…夜中でもね。なあに、僕の馬はあの道は慣れているし…大紋ほどの腕なら楽なものさ」
「暁人は12ですよ!17の貴方と一緒にしないで下さい!」
食ってかかる薫を暁人は静かに制する。
「…本当ですか?」
「暁人!」
「僕があの山小屋まで行ったら…もう薫に手を出さないと約束してくれますか?」
「馬鹿なこと、言うなよ!こいつの挑発に乗ってどうするんだよ!」
鷹司は愉快そうに笑う。
「こいつ扱いか。さすが僕のグレーテルだ」

暁人に取りすがり止める薫をじっと見つめる。
いつもは穏やかな暁人の瞳にはっとするほどの熱情が宿っているのに息を呑む。
「…行くよ。僕が薫を想う気持ちは本物だから…。誰にも負けないから…」
いつもの優しい暁人の笑みを浮かべてみせた。
「…暁人…」
薫の胸の奥がずきりと痛む。






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