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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
「…分かりました。必ず、持ち帰ります」
短く告げると、暁人はそのまま足早に部屋を後にした。
「暁人の馬鹿!行くなよ!」
追いかけようとする薫の手を鷹司が捉える。
「君はここにいるんだ」
「放せよ!暁人は暗闇が苦手なんだよ。しかも嵐になるのに!あんた、頭がおかしいよ。こんな賭けをさせるなんてさ!」
鷹司は綺麗な唇を歪める。
薫の貌を近づけ、魔法を掛けるように囁く。
「…君は別に彼を好きじゃないんだろう?必死になることはないじゃないか。側にいてくれ…僕の可愛いグレーテル…」
甘いワインの薫りと外国煙草のスパイシーな匂いに頭がくらくらする。
薫は必死で鷹司を突き放す。
そしてありったけの怒りの籠った眼差しで睨みつける。
「好きとか嫌いじゃないんだよ!暁人は僕の幼なじみだ!暁人が危ない目に遭うのは嫌だ!」
不意をつかれた鷹司の隙をつき、薫は部屋を飛び出した。
鷹司は舌打ちをする。
「…生意気なグレーテルめ。…ヘンゼルと一緒に狼に食われてしまえばいいんだ」
腹立ちまぎれに毒づき、新しいグラスにワインを注ぎ、一気に飲み干す。
身体中に溢れる苛立ちをどうにもすることが出来ずに、グラスを壁に投げつける。
「…畜生!」
白い壁には血の涙のようなワインの雫が滴り落ちたのだった。
短く告げると、暁人はそのまま足早に部屋を後にした。
「暁人の馬鹿!行くなよ!」
追いかけようとする薫の手を鷹司が捉える。
「君はここにいるんだ」
「放せよ!暁人は暗闇が苦手なんだよ。しかも嵐になるのに!あんた、頭がおかしいよ。こんな賭けをさせるなんてさ!」
鷹司は綺麗な唇を歪める。
薫の貌を近づけ、魔法を掛けるように囁く。
「…君は別に彼を好きじゃないんだろう?必死になることはないじゃないか。側にいてくれ…僕の可愛いグレーテル…」
甘いワインの薫りと外国煙草のスパイシーな匂いに頭がくらくらする。
薫は必死で鷹司を突き放す。
そしてありったけの怒りの籠った眼差しで睨みつける。
「好きとか嫌いじゃないんだよ!暁人は僕の幼なじみだ!暁人が危ない目に遭うのは嫌だ!」
不意をつかれた鷹司の隙をつき、薫は部屋を飛び出した。
鷹司は舌打ちをする。
「…生意気なグレーテルめ。…ヘンゼルと一緒に狼に食われてしまえばいいんだ」
腹立ちまぎれに毒づき、新しいグラスにワインを注ぎ、一気に飲み干す。
身体中に溢れる苛立ちをどうにもすることが出来ずに、グラスを壁に投げつける。
「…畜生!」
白い壁には血の涙のようなワインの雫が滴り落ちたのだった。