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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第3章 秘密の花園
…暁人は凄いな。落ち着いていて、冷静で…。そして勇気があって…。
薫は暁人を密かに見直した。
以前はどこかしら暁人を舐めていたところがあった。
暁人はいつも薫に優しく、どんな我儘を言っても当たり散らしても、決して怒らずに、結局は薫の言うことを全て聞いてくれるからだ。
暁人はいつも穏やかで優しくてどんな時でも甘やかせてくれる幼馴染み…。
それが暁人の印象だった。
…だが、今夜の暁人は違った。
強く、逞しく…どこか眩しい存在に変わったのだ。
じっと見つめている薫と暁人と目が合う。
「どうしたの?薫」
どぎまぎして慌てて目を逸らす。
「なんでもない!」
ぶっきら棒な返事にも気を悪くする様子もなく、暁人は部屋を横切りきびきびと暖炉に向かった。
「とにかく火を熾そう。薫が風邪を引いてしまう」
「…そんなの…お前だってずぶ濡れじゃないか…」
…暁人は馬に乗る前に薫に自分の雨具を着せてくれたのだ。
「僕は大丈夫だ。…薪はたくさんあるな」
そう言いながら器用に薪をくべ、燐寸を擦って火を熾す。
かつて父、大紋と一緒に英国に渡った暁人は数週間、本場のボーイスカウトの体験をしたことがある。
その為、火熾しなどサバイバル術には長けていたのだ。
火が熾きるまでの間、暁人は隣室に行き、タオルを探し当てて薫の髪を拭いてくれる。
「よく拭かなきゃ風邪を引く」
見上げるその瞳はひたすらに優しくて…薫は妙に恥ずかしくてタオルを奪う。
「一人でできる。…お前もちゃんと拭けよな」
「うん」
…しかし、寒い。
濡れた服が身体に張り付き体温を奪う。
薫が身震いするのを見て、暁人は少し躊躇いながら言った。
「…服を脱いだ方がいい」
そう言って隣室の寝台からブランケットを持ってきた。
「…これにくるまって…」
「分かった。…暁人も脱げよ。お前だって寒いだろう?」
「…う、うん…」
暁人の声が上擦った。
薫は深く考えずに濡れた服をさっさと脱ぎだした。
ずぶ濡れの冷たい服を着ているより裸に毛布をくるまったほうがずっと温かいに決まっているからだ。
シャツと半ズボンを脱ぐ。下着を脚から脱ぎ捨て、生まれたままの姿になった時に、ふと熱い眼差しを感じ振り返る。
…暁人が今まで見たことがないような野生的な熱く滾るような眼で薫を見つめていた。
そして無言で近づくと、いきなり薫を抱きすくめた。
「薫!好きだ…!」
薫は暁人を密かに見直した。
以前はどこかしら暁人を舐めていたところがあった。
暁人はいつも薫に優しく、どんな我儘を言っても当たり散らしても、決して怒らずに、結局は薫の言うことを全て聞いてくれるからだ。
暁人はいつも穏やかで優しくてどんな時でも甘やかせてくれる幼馴染み…。
それが暁人の印象だった。
…だが、今夜の暁人は違った。
強く、逞しく…どこか眩しい存在に変わったのだ。
じっと見つめている薫と暁人と目が合う。
「どうしたの?薫」
どぎまぎして慌てて目を逸らす。
「なんでもない!」
ぶっきら棒な返事にも気を悪くする様子もなく、暁人は部屋を横切りきびきびと暖炉に向かった。
「とにかく火を熾そう。薫が風邪を引いてしまう」
「…そんなの…お前だってずぶ濡れじゃないか…」
…暁人は馬に乗る前に薫に自分の雨具を着せてくれたのだ。
「僕は大丈夫だ。…薪はたくさんあるな」
そう言いながら器用に薪をくべ、燐寸を擦って火を熾す。
かつて父、大紋と一緒に英国に渡った暁人は数週間、本場のボーイスカウトの体験をしたことがある。
その為、火熾しなどサバイバル術には長けていたのだ。
火が熾きるまでの間、暁人は隣室に行き、タオルを探し当てて薫の髪を拭いてくれる。
「よく拭かなきゃ風邪を引く」
見上げるその瞳はひたすらに優しくて…薫は妙に恥ずかしくてタオルを奪う。
「一人でできる。…お前もちゃんと拭けよな」
「うん」
…しかし、寒い。
濡れた服が身体に張り付き体温を奪う。
薫が身震いするのを見て、暁人は少し躊躇いながら言った。
「…服を脱いだ方がいい」
そう言って隣室の寝台からブランケットを持ってきた。
「…これにくるまって…」
「分かった。…暁人も脱げよ。お前だって寒いだろう?」
「…う、うん…」
暁人の声が上擦った。
薫は深く考えずに濡れた服をさっさと脱ぎだした。
ずぶ濡れの冷たい服を着ているより裸に毛布をくるまったほうがずっと温かいに決まっているからだ。
シャツと半ズボンを脱ぐ。下着を脚から脱ぎ捨て、生まれたままの姿になった時に、ふと熱い眼差しを感じ振り返る。
…暁人が今まで見たことがないような野生的な熱く滾るような眼で薫を見つめていた。
そして無言で近づくと、いきなり薫を抱きすくめた。
「薫!好きだ…!」