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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第4章 ハニームーン・ペーパームーン 〜蜜・月・旅・行〜
…兄さん、本当はあんまり快く思ってないのだろうけれど、でも一応お許し下さって、良かったな…。
白い肌に透明な湯を掛けながら、安堵の息を吐く。
暁にとって礼也は今でも最愛の兄だ。
礼也に不愉快な思いはさせたくない。
出来れば、月城のことも好きになってほしいのだ。
…礼也さんは月城をお嫌いなわけではないの。
月城に嫉妬されているのよ。可愛くて仕方がない暁さんを取られたと思い込まれているのよね。
本当に困った方だわ。
光は肩をすくめた。
…礼也さんは他のことに関してはとても物分りが良いのに…。暁さんのことになると人が違ったみたい…。
貴方のことをそれくらい深く愛しているのよね…。
…私も暁さんが少し妬ましくなるくらいだわ。
光はそう言って明るく笑ったのだった。
…兄さん…。今、どうしているかな…。
ぼんやり考え込んでいる背後から、ベルベットのように滑らかで淫靡な声が聞こえてきた。
「…暁様。何を考えていらっしゃるのですか?」
はっと振り向くと、開け放たれた部屋の縁側に浴衣姿の月城が腕組みをして佇んでいた。
藍染の縞の浴衣を着た月城は、濡れ髪が額に落ちかかり、色悪めいた婀娜な色気に満ち溢れ、暁をぞくりと震わせる。
普段、洋装が殆どの月城の浴衣姿に暁は胸をときめかせ、しかし自分が裸で入浴していることを思いだし、羞恥に身を硬くする。
そんな暁の様子に目を細めながら近づいてくる。
「…暁様、立っていただけますか?」
「…月城…」
暁は黒目勝ちな瞳を見開いた。
露天風呂の縁に立ち、繰り返す。
「立って…暁…」
恋人としての命令に暁は唇を噛み締めながら、羞恥に首を振る。
「…やだ…まだ明るくて恥ずかし…い」
「大丈夫です。湯けむりではっきりとは見えませんよ。
…貴方の裸を太陽のもとで見ることなどないのですから…私に見せてください…」
「…や…だ…」
「…暁…」
月城は決して強制はしない。
ただ、その眼差しひとつ、声色ひとつだけで、暁を催眠術のように酔わせ、従わせてしまうのだ。
…暁は唇を噛み締めながら、透明な湯からゆっくりと立ち上がり、月城の方を向き直った…。
白い肌に透明な湯を掛けながら、安堵の息を吐く。
暁にとって礼也は今でも最愛の兄だ。
礼也に不愉快な思いはさせたくない。
出来れば、月城のことも好きになってほしいのだ。
…礼也さんは月城をお嫌いなわけではないの。
月城に嫉妬されているのよ。可愛くて仕方がない暁さんを取られたと思い込まれているのよね。
本当に困った方だわ。
光は肩をすくめた。
…礼也さんは他のことに関してはとても物分りが良いのに…。暁さんのことになると人が違ったみたい…。
貴方のことをそれくらい深く愛しているのよね…。
…私も暁さんが少し妬ましくなるくらいだわ。
光はそう言って明るく笑ったのだった。
…兄さん…。今、どうしているかな…。
ぼんやり考え込んでいる背後から、ベルベットのように滑らかで淫靡な声が聞こえてきた。
「…暁様。何を考えていらっしゃるのですか?」
はっと振り向くと、開け放たれた部屋の縁側に浴衣姿の月城が腕組みをして佇んでいた。
藍染の縞の浴衣を着た月城は、濡れ髪が額に落ちかかり、色悪めいた婀娜な色気に満ち溢れ、暁をぞくりと震わせる。
普段、洋装が殆どの月城の浴衣姿に暁は胸をときめかせ、しかし自分が裸で入浴していることを思いだし、羞恥に身を硬くする。
そんな暁の様子に目を細めながら近づいてくる。
「…暁様、立っていただけますか?」
「…月城…」
暁は黒目勝ちな瞳を見開いた。
露天風呂の縁に立ち、繰り返す。
「立って…暁…」
恋人としての命令に暁は唇を噛み締めながら、羞恥に首を振る。
「…やだ…まだ明るくて恥ずかし…い」
「大丈夫です。湯けむりではっきりとは見えませんよ。
…貴方の裸を太陽のもとで見ることなどないのですから…私に見せてください…」
「…や…だ…」
「…暁…」
月城は決して強制はしない。
ただ、その眼差しひとつ、声色ひとつだけで、暁を催眠術のように酔わせ、従わせてしまうのだ。
…暁は唇を噛み締めながら、透明な湯からゆっくりと立ち上がり、月城の方を向き直った…。