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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第4章 ハニームーン・ペーパームーン 〜蜜・月・旅・行〜
「…もう中の襞が柔らかく蕩けていらっしゃる…。…ここ数日は貴方を抱いて差し上げなかったというのに…」
月城の澄み切った眼差しがきらりと光った。
「…数日、お友達の別荘に行かれていたと以前に仰いましたね?…どなたかにこの淫らなお身体を弄らせましたか?」
暁は必死で首を振る。
「そんなわけ、ないだろう…!」
「…ではなぜ、ここがこんなにも甘く蕩けていらっしゃるのですか…?」
薄く笑いながら指先をくの字に曲げ、暁の淫孔を抉るように押し広げる。
「…ああっ…!…や…っ…そんな…しない…で…」
思わず悲鳴を上げる。
「…なぜこんなに熟れていらっしゃるのですか…?」
重ねて執拗に尋ねる。
暁は、透き通るように白い首筋を朱に染めて、蚊の泣くような声で答えた。
「…じぶ…んで…弄った…から…」
…私に抱かれたくなった夜はご自分で慰めるのですよ…。
決してそのお美しく淫らなお身体を他人に触れさせてはなりませんよ…。
他人に触れさせる訳などないのに、そう命じる月城が恨めしい…。
…そして、何より月城の言うままに月城の不在に身も心も寂しく、身体を持て余す夜…気がつくと月城を求めて淫らな孔に指を伸ばしてしまう自分がもっと口惜しいのだ。
唇を噛み締めて、男を見上げる暁に涼しい貌で尋ねる。
「…どのようにですか?なさってみて下さい…」
暁は涙に潤んだ瞳を見開く。
「…や…だ…」

今まで様々な性技や淫らな行為を促されたことはあったが、月城の前で自慰を強要されたことはなかった。
暁の元来の恥ずかしがり屋の性格を熟知している月城は、暁の嫌がることはしないからだ。

しかし、今日の月城は違った。
静かに微笑みながら、決して要求を翻そうとしない。
組み敷いた暁を細身だが逞しい腕に抱き上げ、幼児を膝に乗せるような体勢になると、耳元に優しく囁いた。
「…見せて下さい…。いつもどのようにそのいやらしいお身体を慰められるのか…」
「…いや…まだ…明るいし…」
屏風や几帳に囲まれているとはいえ、夕方前だ。
秋の透明な陽の光が寝所には眩しいくらいに差し込んでいる。
子どものようにかぶりを振る暁の髪を愛おしげに撫で、熱い吐息をその耳朶に吹き込む。
「…私たちは夫婦になったのですよ…。貴方は私の妻です。…夫には妻の淫らな行為を見る権利があります…」
「…つ、妻…?」
…初めての言葉に暁の身体はかっと熱く燃え上がった。
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