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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第4章 ハニームーン・ペーパームーン 〜蜜・月・旅・行〜
暫くしてようやく意識を取り戻した暁を、月城は黙って大理石の浴槽の縁に捕まらせる。
月城が強いた体位は獣の体位だ。
…この体位を望む時の月城は自分でも抑止切れない劣情を身の内に滾らせているのだ。

まだ頭の中には霧が掛かったような暁は、湯の中で弱々しく身体を回転させ従いながら、譫言のように尋ねる。
「…まだ…するの…」
月城は暁の細い柳腰を湯の中で強く引き寄せ、熱い吐息を吐きながら、白いうなじに噛み付く。
「…んんっ…!」
暁が思わず背中を仰け反らせる。
「…すまない…暁…貴方が欲しくて堪らない…。これが…全く鎮まらないのだ…」
苦しげに懺悔するように言い、己れの…もう数回は達したはずなのに、先ほどと硬度が少しも衰えていない熱く兆している牡を、暁の双丘のあわいに押しつけた。
「ああ…熱…い…」
月城の未だ硬く聳え立つ凶器のような性器に背筋がぞくりと粟立つ。
…同時に…自分をこんなにも欲してくれる男に対して嬉しさと愛おしさが溢れてくる。
「…嬉し…い…森…。して…たくさん、して…」
振り返り、微笑みかけるとそのまま荒々しく唇を奪われ、熱い楔を熟れきった花環に打ち込まれた。
「…んんっ…!…は…あ…っ…あ…んん…!」
暁は挿入の衝撃に必死で耐える。

何度身体を繋げても、この瞬間だけは未だに慣れることができない…。
…同じ男の性なのに、女のように身体を奪われ、扱われることに…。
だがそれにより快楽が得られること…いや、中を犯されないと快楽を得られないことに遥かに深く、毎回切ない哀しみを覚えるのだ。
女のように扱われることが切ないのではない。
そうされないと自分はもはや悦楽を得られないことが切ないのだ。

…だが最早そのようなことは瑣末な事柄にも思える。
この誰よりも美しい男に、時には甘やかされ、時に嬲られ、極上の快楽を与えられる以上の甘美な幸福があるだろうか…?
…自分は月城がもたらしてくれるものならなんでも甘受する…。
彼が与えてくれるものは全てが愛おしいからだ。

「…あ…っ…ああ…」
月城の象に馴染んだ暁の淫肉は柔らかく包み込むように男の牡を迎え入れる。
「…たくさん出したから…滑らかに挿る…ほら…私の精が溢れて湯が白く濁って…」
最奥まで雄蕊を押し込めながら、月城はわざと楽しげに囁く。
「…い…や…言わない…で…」
余りの羞恥から、暁は目を閉じてしまう。


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