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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第5章 緑に睡る
渓流釣りは楽しかった。
誰も来ない静かな森の奥…。
綺麗な川にはヤマメや岩魚が眼に見えるほど近くに泳いでいて、釣りをしたことがない紳一郎でも面白いくらいに釣れた。
釣った魚はその場で十市が焼いてくれ、それはほっぺたが落ちるほどに美味しかった。
「すごく美味しい!」
声を上げて喜ぶ紳一郎を十市は黙って微笑んでくれた。

…ずっとこのまま、ここにいたいな…。
紳一郎は、水に濡れたシャツを脱ぎ岩場で乾かしている十市の後ろ姿を見ながらぼんやり思った。

すらりと背の高い逞しい背中…。
褐色の滑らかな肌は、光に輝きブロンズの彫像のようだ。
引き締まった腰、長い脚は辛子色のワークパンツに包まれているが、その野性味溢れる男らしい下半身のフォルムは明らかだった。

紳一郎は熱い眼差しで十市を見つめながら、彼の裸を思い起こした。
…彼の裸を思い浮かべ、自慰をしてしまった自分が蘇る。
…恥ずかしい…。
こんなこと、十市に知られたらきっと軽蔑される。
十市は僕のことを弟みたいに可愛がってくれるのだから…。
惨めさに身体を縮こませる。

十市が紳一郎を振り返る。
「坊ちゃん。水浴びしますか?」
十市は沈みがちな紳一郎の気持ちが少しでも紛れるように考えてくれるのだろう。
紳一郎は小さく微笑む。

…昔はよく十市に抱かれて裸で水遊びをした。
今では考えられないことだけれど…。
他の使用人は御曹子の紳一郎を外で遊ばせるのを怖がり、真綿に包むようにしか接してくれなかったのだ。

「…じゃあ、少しだけ…」
パンツの裾を捲り上げ、恐る恐る岩場に手をつきながら川に入る。
十市が差し伸べてくれる手を掴む。
安心して少し歩を進めた瞬間、水苔が生した岩に脚を滑らせ、バランスを崩しそうになった。

「あっ…」
すかさず十市のがっしりした筋肉質な腕が紳一郎の華奢な身体を抱き留めた。
…川の中、抱き合うような形で向かい合う。
背の高い十市の下腹部が紳一郎の鳩尾の下辺りに押し付けられる。
…ワークパンツ越しに男の牡の象を感じ取る。
まだ兆してはいないはずだが、それは紳一郎をたじろがせるのに充分な硬さと大きさを誇っていた。
「…あ…」
…十市が紳一郎の背中を抱きしめる。
男の裸の逞しい胸板に貌を押し付ける。
…十市の鼓動が鼓膜に伝わる…。
同時に…男の蒸せ返るような牡の匂いに、紳一郎は眩暈を起こしそうになる。



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