この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第5章 緑に睡る
「…十市…」
「…あんたの話が聞きたくて…ここに決めたんだ…」
十市がベッドから立ち上がり、紳一郎の前に立つ。
ずっと夢にまで見た男に見つめられ、紳一郎の胸は苦しいほどに高鳴る。
十市のがっしりした大きな手が紳一郎の華奢な腕を掴み、立ち上がらせる。
「…あんたの話を綾香さんに聴けた日は一日中幸せだった。…あんたは相変わらず綺麗で、ダンスも上手いしとても礼儀正しくて絵に描いたような貴公子だ…て綾香さんは褒めていた。俺は頭の中でいつも思い描いていた。…15歳、16歳、17歳になったあんたを…」
褐色の大きな温かい手が紳一郎の小さな白い貌を包み込む。
「…今、17歳のあんたがここにいる。…俺の腕の中にいる…。夢じゃないか確かめさせてくれ…」
「…十市…」
吸い寄せられるように、男の逞しい胸に抱き込まれる。
十市の唇が紳一郎の唇に近づき、重なる刹那…突然ある想いが浮かび、咄嗟に彼から身体を離した。
「坊ちゃん…?どうしたんだ?」
怪訝な表情をする十市に苦しげに貌を背ける。
震える声で必死に切り出す。
「…僕は…お前にどうしても聞かなくてはならないことがある…」
…怖い…。
怖いけれど、ちゃんと事実を確かめなければ、前に進めない。
「何ですか?」
「…僕の本当の父親のことだ…」
十市は彫りの深い瞳を見開いた。
「…坊ちゃん…」
「…あんたの話が聞きたくて…ここに決めたんだ…」
十市がベッドから立ち上がり、紳一郎の前に立つ。
ずっと夢にまで見た男に見つめられ、紳一郎の胸は苦しいほどに高鳴る。
十市のがっしりした大きな手が紳一郎の華奢な腕を掴み、立ち上がらせる。
「…あんたの話を綾香さんに聴けた日は一日中幸せだった。…あんたは相変わらず綺麗で、ダンスも上手いしとても礼儀正しくて絵に描いたような貴公子だ…て綾香さんは褒めていた。俺は頭の中でいつも思い描いていた。…15歳、16歳、17歳になったあんたを…」
褐色の大きな温かい手が紳一郎の小さな白い貌を包み込む。
「…今、17歳のあんたがここにいる。…俺の腕の中にいる…。夢じゃないか確かめさせてくれ…」
「…十市…」
吸い寄せられるように、男の逞しい胸に抱き込まれる。
十市の唇が紳一郎の唇に近づき、重なる刹那…突然ある想いが浮かび、咄嗟に彼から身体を離した。
「坊ちゃん…?どうしたんだ?」
怪訝な表情をする十市に苦しげに貌を背ける。
震える声で必死に切り出す。
「…僕は…お前にどうしても聞かなくてはならないことがある…」
…怖い…。
怖いけれど、ちゃんと事実を確かめなければ、前に進めない。
「何ですか?」
「…僕の本当の父親のことだ…」
十市は彫りの深い瞳を見開いた。
「…坊ちゃん…」