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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第5章 緑に睡る
紳一郎は唇を戦慄かせ、蘭子への呪詛の言葉を吐こうとした。
しかしそれは形にならず、もうそれ以上母親と向き合う勇気も持てず、扉を叩きつけるように部屋を飛び出すと、一気に大階段を駆け下りた。

「坊ちゃま!お待ちください!」
玄関の車寄せで待機していた運転手が慌てて声をかける。
紳一郎は脇目も振らずに祖母の屋敷を逃げ出すように走り続けた。
頭の中に、十市の面影が浮かんでは消えた。


…僕は…僕は…父親と寝てしまったのか…⁈
おぞましい身の毛がよだつような考えが浮かび、身震いする。
雑木林の下草に身を投げ出す。
澄み切った青い冬空を見つめる。
「…十市…」
青い粒子が滲んで、見えなくなる。

…例え親子でも…汚らわしくても、許されなくても、それでも十市が好きだと思った。
けれど、それを伝えたくても十市はいない。
どこにもいない。

紳一郎はたった1人、この世の果てに置き去りにされた捨て子の如く、声を放って泣き続けたのだった。
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