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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第6章 いつか、愛を囁いて
華やかなブルーグレイのミンクの襟巻きをして、白いのカシミアのコートを着た司はその華やかな容姿とともにとても目を惹く。
まるでお忍びの王子様のような格好の青年がいきなり走り寄って来るのだ。
周りの医学生は騒めき立った。
司は一目散に白衣の背の高い青年の元に駆け寄ると、思い切り抱きついた。
「真紀‼︎逢いたかった‼︎半年も逢えなくて、おかしくなりそうだったよ…!」
抱きつかれた青年は慌てて司を引き離す。
背がすらりと高く目を惹くような美男子だ。
やや冷たい印象を受けるのは、白衣のせいかも知れないと泉は思った。
「…ちょっ…!司…お前…」
明らかに狼狽しているのに、司は気がつかない。
「真紀…!ちょっと痩せた?…でもなんか…精悍になっちゃって…かっこいいね…相変わらず…フフ…」
恥じらいだした司の手を青年が慌てて、引く。
「司、こっちに来て」
そして一緒に出てきた友人らしき青年に
「…悪い。パリから友人がいきなり来たんだ。…あとで研究室に行く」
と口早に告げると、司の手をやや乱暴に引っ張りながら何処へかと連れ出した。
司は、呆気に取られる泉の方へ振り向くと満面の笑みで手を振った。
「晩餐までには帰るから!またね、泉!」
「…は、はあ…」
白衣の青年に強く手を引かれ、司はそれでも大層嬉しそうに二人で姿を消した。
「…何なんだよ…全く…」
泉は腹立たしげに独り言ちた。
忙しい中、道案内をさせてその挙句友人らしき男とさっさと姿を消した司への苛立ちだ。
「…これだからブルジョアのお坊ちゃまは…」
…踵を返しかけて、ふと二人が消えた方を振り向く。
「…でも…司様はあの青年とどんな関係なんだろう…」
しかしすぐに
「…ま、俺には関係のないことだ」
肩を聳やかし、足早に大学の構内を出たのだった。
まるでお忍びの王子様のような格好の青年がいきなり走り寄って来るのだ。
周りの医学生は騒めき立った。
司は一目散に白衣の背の高い青年の元に駆け寄ると、思い切り抱きついた。
「真紀‼︎逢いたかった‼︎半年も逢えなくて、おかしくなりそうだったよ…!」
抱きつかれた青年は慌てて司を引き離す。
背がすらりと高く目を惹くような美男子だ。
やや冷たい印象を受けるのは、白衣のせいかも知れないと泉は思った。
「…ちょっ…!司…お前…」
明らかに狼狽しているのに、司は気がつかない。
「真紀…!ちょっと痩せた?…でもなんか…精悍になっちゃって…かっこいいね…相変わらず…フフ…」
恥じらいだした司の手を青年が慌てて、引く。
「司、こっちに来て」
そして一緒に出てきた友人らしき青年に
「…悪い。パリから友人がいきなり来たんだ。…あとで研究室に行く」
と口早に告げると、司の手をやや乱暴に引っ張りながら何処へかと連れ出した。
司は、呆気に取られる泉の方へ振り向くと満面の笑みで手を振った。
「晩餐までには帰るから!またね、泉!」
「…は、はあ…」
白衣の青年に強く手を引かれ、司はそれでも大層嬉しそうに二人で姿を消した。
「…何なんだよ…全く…」
泉は腹立たしげに独り言ちた。
忙しい中、道案内をさせてその挙句友人らしき男とさっさと姿を消した司への苛立ちだ。
「…これだからブルジョアのお坊ちゃまは…」
…踵を返しかけて、ふと二人が消えた方を振り向く。
「…でも…司様はあの青年とどんな関係なんだろう…」
しかしすぐに
「…ま、俺には関係のないことだ」
肩を聳やかし、足早に大学の構内を出たのだった。