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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第6章 いつか、愛を囁いて
…小客間の扉が少し開いていた。
密やかな話し声は、暁と月城であった。
薫と暁人は重なり合うように二人の様子をそっと覗き見る。

暁は、蕩けるような表情をその人形のように整った貌に浮かべ、月城を見上げる。
「…今年のクリスマスは、君とこの家で過ごせるんだね…。兄さんや義姉さんや、薫や…北白川の綾香さんや梨央さん達とも…」
月城はまだやや戸惑っているような表情をしていた。
暁の陶器のように白く滑らかな頬をその長く美しい指で触れながら見つめる。
「…本当によろしいのでしょうか…。私のような身分のものが…皆様とご一緒にクリスマスの夜を過ごすなど…」
暁は黒く大きな瞳をひたりと月城に当て、はっきりと答えた。
「君は僕の生涯の伴侶だ。僕は家族として君をこの家に招くことができて幸せだ」
「…暁様…」
暁の貌が幸せで輝き出す。
「君をやっと皆んなに自慢できる。僕の月城はこんなに美しくて、品格があって、教養深くて…そしてなにより…僕がどんなに君を愛しているか、皆んなに思い切り自慢できる…。それが嬉しい…!」
月城はその氷のようにひやりとした美貌に愛しげな微笑みを浮かべると、そのまま暁の貌を引き寄せた。
「…暁様…。…愛しています…」
「…あ…っ…つきし…んんっ…」
暁の薄紅色の柔らかな唇が月城の唇に大胆に奪われる。
可憐な花を散らすような荒々しくも濃密な愛に満ちたくちづけは、そのまま二人の愛の営みを彷彿させるような濃厚なものだった。
お互いの吐息を奪い合うような艶かしいくちづけ…。

薫はどきどきしながら二人のくちづけを見つめていた。
…と、いきなり暁人に強引に腕を捕まれ、そのまま壁に押し付けられた。
「…な…っ…!」
声を潜めて抗うと、暁人が怒ったような眼差しで薫を見据えていた。
「…薫…愛している…!」
「…ちょっ…あき…んんっ…!」
余裕のない、ガツガツと貪るようなくちづけを与えられる。
暁達の成熟した艶めかしいくちづけと正反対の性急で貪欲なくちづけだ。
だがそれ故に暁人の熱い想いが伝わってくる。
「…だめ…だ…ってば…」
甘く掠れた声が出てしまう。
暁人が強引に舌を絡める。
熱い舌…何もかも食い尽くすような青いくちづけ…。
薫は自分からもそっと舌を絡める。
暁人が呻くように囁く。
「…愛している…薫…僕を好きになってよ…」
…扉の外では暁と月城がまだ愛を確かめ合っていた…。
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