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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第6章 いつか、愛を囁いて
翌朝、司が朝食室の椅子に腰掛けると、執事の黒い制服を見事に着こなした泉が晴れやかな笑顔で声をかけてきた。
「おはようございます。司様。良くお休みになれましたか?」
昨夜のあの辛辣な言葉はまるで嘘のような穏やかで優しい笑顔だ。
司は思わずむっとして、わざとつんと顎を反らせナプキンを広げた。
「…ああ。君との楽しいお喋りのお陰でぐっすり朝まで眠れたよ。夢を見る暇もないくらいにね」
じろりと司を見上げると、泉は柔かに微笑みながらジノリの珈琲カップに薫り高い珈琲を注ぎ入れた。
「それは良かったです。
…昨夜は色々とお忙しくお疲れになったのではと案じておりましたので、安心いたしました」
…何をぬけぬけと…。
司は、きっと泉の男らしく端正に整った貌を睨んだ。
あんなに僕を批判して、嫌味を言いまくったくせに!
今朝は礼也は早々に九州に旅立っていた。
マントルピースの前に座っている光が楽しげに笑い声を立てた。
「まあ!司さんと泉はもう仲良くなったのね。それは何よりだわ。司さんはまだ日本に不慣れでいらっしゃるから…泉、これからも何くれとなくお世話をして差し上げてね」
憮然とした表情の司と光を交互に見ながら泉は人好きのする笑顔で応えた。
「はい。もちろんでございます。
…司様のようにお美しい方のお世話をさせて頂けるなど、光栄の極みです。
…心を込めてお仕えさせて頂きます」
「ありがとう、泉。心強いよ」
司は泉にしか見えないようにアカンベーをすると、澄ました貌で、薄いトーストにマーマレードを塗り始めた。
そんな二人の様子を、薫は怪訝そうな貌で見守っていた。
余りに凝視しすぎて、半熟卵の黄身を制服のジャケットに零し、早朝から光に叱責されるのであった。
「おはようございます。司様。良くお休みになれましたか?」
昨夜のあの辛辣な言葉はまるで嘘のような穏やかで優しい笑顔だ。
司は思わずむっとして、わざとつんと顎を反らせナプキンを広げた。
「…ああ。君との楽しいお喋りのお陰でぐっすり朝まで眠れたよ。夢を見る暇もないくらいにね」
じろりと司を見上げると、泉は柔かに微笑みながらジノリの珈琲カップに薫り高い珈琲を注ぎ入れた。
「それは良かったです。
…昨夜は色々とお忙しくお疲れになったのではと案じておりましたので、安心いたしました」
…何をぬけぬけと…。
司は、きっと泉の男らしく端正に整った貌を睨んだ。
あんなに僕を批判して、嫌味を言いまくったくせに!
今朝は礼也は早々に九州に旅立っていた。
マントルピースの前に座っている光が楽しげに笑い声を立てた。
「まあ!司さんと泉はもう仲良くなったのね。それは何よりだわ。司さんはまだ日本に不慣れでいらっしゃるから…泉、これからも何くれとなくお世話をして差し上げてね」
憮然とした表情の司と光を交互に見ながら泉は人好きのする笑顔で応えた。
「はい。もちろんでございます。
…司様のようにお美しい方のお世話をさせて頂けるなど、光栄の極みです。
…心を込めてお仕えさせて頂きます」
「ありがとう、泉。心強いよ」
司は泉にしか見えないようにアカンベーをすると、澄ました貌で、薄いトーストにマーマレードを塗り始めた。
そんな二人の様子を、薫は怪訝そうな貌で見守っていた。
余りに凝視しすぎて、半熟卵の黄身を制服のジャケットに零し、早朝から光に叱責されるのであった。