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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第6章 いつか、愛を囁いて
翌日からも司はほぼ毎日、真紀に逢いに行った。
真紀の貌が見られないと不安で仕方なかったからだ。
帝大で降ろして貰う時に運転手の前田には
「…泉には僕は上智に行ったって言ってね。それから高輪の祖父母の家に行くから迎えはいらない」
と必ず釘を刺した。
「…は、はあ…」
前田は困ったように頷いた。

泉は光に司のことを託されているので、監視が厳しい。
大学に通っていないことが分かったら、どんな嫌味を言われるか分からないし、パリの両親に注進されるかもしれない。

真紀との逢瀬は、慌ただしかった。
医学部の大学院生の真紀は忙しい。
授業に研究に、そして生活費を稼ぐ為の家庭教師のアルバイトを掛け持ちで何件も請け負っていた。

忙しい逢瀬の中、真紀はひたすら司の身体を求めて来た。
まるで儘ならない自分の人生の鬱屈を司の身体で晴らすかのように…。

今日こそはゆっくり話をしようと下宿に行ったのに、部屋に入るなり、性急に唇を奪われる。
「…まって…真紀…話が…ある…の…」
抗うと、荒々しくその場で服を脱がされた。
「…拒むなよ…司…。…お前が欲しいんだよ…」

強引だと思いながらも、愛しい男の懇願を断ることはできない。
元々、快楽には弱い身体だ。
真紀の濃厚なくちづけに司の身体の芯はいとも簡単に蕩けてゆく。
「…んっ…は…ああ…っ…ん…」
司のか細い身体から力が抜けると、真紀は満足げに微笑み、優しく抱き締めそのまま寝台へと連れ込む。
男に慣らされた身体は、哀しいほどに柔らかく解け、男を受け入れてしまう。

「…ああ…司…。お前の身体は絶品だな。…きめ細かくて、しっとりとした肌…。
…ここも…すごく俺を締め付ける…たまらないよ…」
ため息を吐きながら、抽送を繰り返す。
うっとりとしたような真紀の賛美の言葉が鼓膜を擽る。
「…んんっ…や…は…ああ…んっ…」
優しくされている心地良さと、直接的に加えられる肉の快楽に司は我を忘れる。
「…い…い…きもち…いい…っ…」
真紀がふっと笑い、律動を早める。
「お前は可愛いな…。好きだよ…司…」
大切にされていると実感出来るのは身体を重ねている時だ。
…こんなに固執してくれるのは、僕を愛してくれているからだ…。
「…ああ…す…き…まさき…あいしてる…あい…」
必死の声は真紀のくちづけに絡めとられ、それ以上は形にならなかった。









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