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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第6章 いつか、愛を囁いて
食事が済むと慌ただしく家庭教師のアルバイトに向かう真紀と、店の前で別れる。
…またゆっくり話ができなかったな…。
司はやや落胆しつつも、明るく尋ねた。
「明日も会える?会いに来てもいい?」
すると、済まなそうに真紀が答えた。
「…ごめん。明日は研究室の教授の学会の手伝いをしなくちゃいけないんだ。…帰りも何時になるか分からないから…」
「…そうなんだ…」
がっかりする司の髪を優しく撫でる。
「来週会おう。…今度は洒落た店を探しておくよ。浅草に洒落たビストロがあるらしいんだ。そこに行こう」

思い切って口を開く。
「…あ、あの…。…真紀、イブは…会える?」
再び真紀の瞳が済まなそうに瞬かれる。
「…ごめん。イブは教授会のパーティの裏方を任されてしまって…」
しゅんとする司の肩を抱く。
「…ごめん。本当に…。…司は?予定はないの?」
「…縣のおうちのクリスマスパーティに誘われている…」
ほっとしたように真紀が破顔する。
「良かったじゃないか。…楽しんでおいで」
「…うん…」
…でも、イブは恋人と…真紀と過ごしたかった…。
出かかった言葉を飲み込む。
真紀を困らせたくはない。
真紀に嫌われたくはない。

「…埋め合わせは必ずするから。…じゃあ、また…。
気をつけて帰れよ」
真紀はクールに整った貌に笑みを浮かべ、手を上げて歩き出した。

…なんだか日本に来てから、真紀の後ろ姿しか見ていないな…。
司は寂しく思いながら、夕焼け色に染まる真紀の背中をいつまでも見送り続けた。

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