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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第6章 いつか、愛を囁いて
祖父母宅で心尽くしの食事を一緒に摂り、積もる話をした。
持参した瑠璃子の写真を見ると、祖父母は涙ぐんで喜んだ。
今年、エコール プリメールに入学した記念に撮った写真だ。
濃紺のブレザーに紅色のリボン、ビリジアン色のタータンチェックのひだスカート姿の瑠璃子は、兄から見ても眼を見張るような美少女だ。
「なんて可愛いんでしょう…!お姫様みたいだわ!」
女の子が欲しかったという祖母は何度も瑠璃子の写真を愛おしげに撫でていた。
いつか、祖父母に瑠璃子を会わせてあげよう…と、密かに司は思った。

帰ろうとすると祖父母が名残惜しがり、泊まってゆきなさいと強く引き留められたのをなんとか断り
「また来ますから…」
と約束した。
風間家の車で送ると言う祖父母の申し出を断り、執事や家政婦たちに見送られ、歩き出す。

立派な屋敷を振り返り暫く歩き、大通りに出るとタクシーを拾う。
乗り込んですぐに
「本郷の帝大まで」
と運転手に告げる。
…会えなくてもいいから少しでも真紀の側に行きたかったのだ。

帝大に着くと、案の定すでに校門は閉じられていた。
…大学が閉まっているということは…真紀はもう下宿に帰宅しているかもしれない…!
司は足早に弥生町の真紀の下宿に向かった。
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