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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第6章 いつか、愛を囁いて
真紀の下宿の前に着き、二階を見上げる。
部屋の灯りが灯っているのが、窓越しに見えた。

…真紀、帰っている…!
嬉しくなって、共同の玄関に向かおうとしたその時…。
粗末な扉が開く音がし、同時に真紀の声が響いた。
「…わざわざすみませんでした。…禮子さんに部屋の掃除をしていただくなんて…」
恐縮したような声の後に、弾むような若い女の声が聞こえる。
「とんでもありませんわ。…真紀さんは毎日お勉強や研究でお忙しいのですもの。
お掃除やお食事作りくらい私にさせてください。…まだまだ未熟ですけれど…拙い花嫁修業が少しはお役に立てるのでしたら本望ですわ」

思わず、近くの木の茂みに身を隠す。
真紀の優しい声が聞こえる。
「ありがとうございます。…禮子さんのお料理は何でも美味しいので、いつも楽しみですよ。
…でも、今夜はもう遅いからタクシーでお家までお送りいたします。禮子さんがお父様にお叱りを受けるといけない」
「あら。真紀さんのお宅に行くのなら、お父様は何も申しませんわ。…真紀さんは厳しいお父様のお眼鏡に適った唯一の殿方ですもの」
「それは光栄です。…さあ、まいりましょう」
「はい。真紀さん…」

二人の遠ざかる足音が聞こえる。
司は恐る恐る茂みから貌を覗かせた。
薄明かりの街灯に背の高い男と…それに寄り添うように歩く上等そうな毛皮の外套を纏った若い女性の後ろ姿が浮かび上がる。

司は今、目の前で起こった出来事がとても現実とは思えず、茫然としたまま立ち竦むのだった。



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