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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第6章 いつか、愛を囁いて
縣家の聖夜の晩餐会は賑やかに、華やかな招待客と共に執り行われた。
何と言っても一番眼を引いたのは暁と月城の二人だろう。
暁はいつもながらの優美で嫋やかな美しい正装姿だったが、隣に寄り添う月城の正装姿は凛とした怜悧な美しさと、さながら生まれながらの貴族のような高貴さを醸し出す姿だったのだ。
いつものように、主に付き添う執事としてではなく暁のパートナーとして存在する月城は、全く遜色なく…寧ろ、暁の横に寄り添うべき相手はこの男しかいないと皆を納得たらしめるのに充分な風格と威厳すら漂わせていたのだ。
挨拶に進み出る月城を、礼也は温かい抱擁と硬い握手で迎えた。
「…今夜はよく来てくれた。月城くん」
「…縣様。…私のようなものを正式にご招待頂き、感謝の言葉しかございません」
あくまで謙虚に遜る月城の手を強く握りしめ、首を振る。
「…今夜は礼也と呼んでくれ。君は執事ではなく私の大切な弟の伴侶なのだから」
「…縣様…!」
暁が感激のあまり、涙ぐみながら礼也に抱きつく。
「兄さん…!ありがとうございます!」
暁を優しく抱きしめながら、背中を撫でる。
「暁…。私のつまらぬ嫉妬心のせいで随分長いことお前に寂しい想いをさせたな。許してくれ」
暁は泣き笑いのまま首を振る。
「いいえ…いいえ、兄さん…!」
少し離れた場所で三人を見つめる大紋は感慨深げに呟いた。
「…良かった…。ようやくあの二人も正式に認められたのだ。…まだまだ道は遠いだろうが…大事な一歩を踏み出せたのだから…」
傍らの絢子が遠慮勝ちに夫を見上げ、口を開く。
「…春馬様。…春馬様は…お寂しくはないのですか…」
大紋は少し驚いたように眼を見張り、妻を見下ろした。
そして正直に気持ちを吐露した。
「…少し寂しいよ。…けれど、乗り越えられない寂しさではない。…君がそばにいてくれるならば…」
レースの手袋に包まれた妻の小さな手を握りしめる。
絢子が唇を震わせて、眼を潤ませる。
「…ええ。…私は…ずっと春馬様のおそばにおりますわ…」
絢子の華奢な肩を抱き、近くで嬉しそうに見つめている暁人に目配せをする。
「さあ、暁人。光さんと菫ちゃんに挨拶に行こう。菫ちゃんがさっきからツリーの側でお前を待っているよ」
暁人は満面の笑みで頷いた。
「はい!お父様」
何と言っても一番眼を引いたのは暁と月城の二人だろう。
暁はいつもながらの優美で嫋やかな美しい正装姿だったが、隣に寄り添う月城の正装姿は凛とした怜悧な美しさと、さながら生まれながらの貴族のような高貴さを醸し出す姿だったのだ。
いつものように、主に付き添う執事としてではなく暁のパートナーとして存在する月城は、全く遜色なく…寧ろ、暁の横に寄り添うべき相手はこの男しかいないと皆を納得たらしめるのに充分な風格と威厳すら漂わせていたのだ。
挨拶に進み出る月城を、礼也は温かい抱擁と硬い握手で迎えた。
「…今夜はよく来てくれた。月城くん」
「…縣様。…私のようなものを正式にご招待頂き、感謝の言葉しかございません」
あくまで謙虚に遜る月城の手を強く握りしめ、首を振る。
「…今夜は礼也と呼んでくれ。君は執事ではなく私の大切な弟の伴侶なのだから」
「…縣様…!」
暁が感激のあまり、涙ぐみながら礼也に抱きつく。
「兄さん…!ありがとうございます!」
暁を優しく抱きしめながら、背中を撫でる。
「暁…。私のつまらぬ嫉妬心のせいで随分長いことお前に寂しい想いをさせたな。許してくれ」
暁は泣き笑いのまま首を振る。
「いいえ…いいえ、兄さん…!」
少し離れた場所で三人を見つめる大紋は感慨深げに呟いた。
「…良かった…。ようやくあの二人も正式に認められたのだ。…まだまだ道は遠いだろうが…大事な一歩を踏み出せたのだから…」
傍らの絢子が遠慮勝ちに夫を見上げ、口を開く。
「…春馬様。…春馬様は…お寂しくはないのですか…」
大紋は少し驚いたように眼を見張り、妻を見下ろした。
そして正直に気持ちを吐露した。
「…少し寂しいよ。…けれど、乗り越えられない寂しさではない。…君がそばにいてくれるならば…」
レースの手袋に包まれた妻の小さな手を握りしめる。
絢子が唇を震わせて、眼を潤ませる。
「…ええ。…私は…ずっと春馬様のおそばにおりますわ…」
絢子の華奢な肩を抱き、近くで嬉しそうに見つめている暁人に目配せをする。
「さあ、暁人。光さんと菫ちゃんに挨拶に行こう。菫ちゃんがさっきからツリーの側でお前を待っているよ」
暁人は満面の笑みで頷いた。
「はい!お父様」