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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第6章 いつか、愛を囁いて
晩餐は和やかで楽しい雰囲気で進んだ。
下僕達がサーブする料理は料理長が腕を振るうクリスマスの特別なメニューだ。

クリスマスイブということで、特別に席に着かせて貰えた菫はにこにこと上機嫌だった。
薔薇色のシフォンのドレスを着て、髪に北白川梨央から贈られたピンクの薔薇を飾った菫は天使のように愛らしい。
「菫は毎日美人になるなあ。光さんにそっくりだ」
礼也は親馬鹿ぶりと愛妻家ぶりを垂れ流し、皆の温かい笑いを誘った。

暁人は薫の隣に座り、そっと囁く。
「…薫も綺麗だよ」
「…バカ。…何言ってるんだ」
「本当だよ。…そのスーツ、良く似合うね」
テーブルクロスの下でそっと手を握りしめる。
薫は冷たく手を振り払う。
「…よせよ」
しゅんとする暁人を尻目に、眼は泉を追う。
泉は前菜の牡蠣のパイ包みを司の皿にサーブしているところだった。
サーブしながら、泉は司にさり気なく視線を送っていた。

…最近、泉は司さんばかり見ている。
いくらお母様に司さんの世話を託されたからって…気にしすぎだよ…!
薫は苛立つ。
…そりゃ司さんは綺麗だけれど…。

バカラのグラスからシャンパンを飲み干す司は、どこか憂いを秘めた美しい横顔がまるで西洋絵画のようだ。
華やかで朗らかな人かと思いきや、こんな風に哀しげな不思議な表情を見せる…。
パリ育ちだからか、醸し出す雰囲気が洗練されていて宝石みたいにきらきらしている。
叔父の暁に似た繊細な美貌だが、司はそれに西洋的なモダンなエッセンスが加わった貌立ちなのだ。

…泉はやっぱり司さんが好きなんじゃないだろうか…。
薫は不安になる。
そんな薫を暁人は切なげに見つめる。
テーブルクロスの下の手をもう一度強く握りしめる。

薫は仕方なく小さく握り返してやる。
暁人の貌が嬉しそうに輝いた。
…暁人が僕をすごく愛してくれているのは分かる。
暁人のことは嫌いじゃない。
むしろ好きだ。
…でも…
泉を想うだけで身体が甘く疼く…。
…夜の庭園と階下のシャワー室で交わした甘く激しいくちづけ…。
あの続きをしてほしいのに、泉はまるでなかったかのように薫に接する。
それが切ない…。

…早く大人になりたい。
泉と同等に愛し合えるくらい…早く…早く大人になりたい…。
薫は心の中で呟きながら、優雅に立ち働く泉を見つめていた。


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