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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第6章 いつか、愛を囁いて
皆が楽しそうに踊るさまを見ていて、菫は地団駄を踏む。
「すみれも!すみれも踊りたい!泉はどこ?」
泉はお気に入りの執事だ。
いつも菫と踊ってくれるのだ。
ナニーが宥める。
「泉さんは司様をお迎えにゆかれましたよ。菫お嬢様はナニーとご一緒にこちらで拝見していましょうね。
さあ、ミルクとビスケットを召し上がれ」
菫が可愛らしい唇を尖らす。
「つまんない…」
すると菫のスカートをくいくいと引っ張るものがいた。

「カイザー!」
カイザーが嬉しそうに菫を見上げ、鼻を鳴らした。
「お前もひとりぼっちなのね?…もしかしてすみれと踊ってくれるの?」
高らかに凛々しくカイザーが吠える。
菫の愛らしい貌が輝く。
「ありがとう、カイザー!」
菫はふわふわのスカートを摘み、可愛らしくお辞儀をする。
菫はカイザーの前脚を抱き上げ、くるくる踊る。

その微笑ましい光景に、踊っている大人達から温かい笑いが起こる。

薫が執事の生田にせっかちに尋ねる。
「ねえ、泉は?まだ帰らない?」
「はい。司様をお迎えに行かれたまま…。雪が積もってまいりましたから、お帰りに時間がかかっているのかもしれません」
取りなすように穏やかに答える生田に薫は溜息を吐く。

暁人が薫の腕を引く。
「…薫。踊ってくれないか?」
薫は眼を見開いた。
「お前と?やだよ。恥ずかしいよ」
「暁叔父様と月城さんは踊っているよ。北白川の梨央様と綾香様も…」
「そりゃ、彼らは…」
…結婚しているんだから…。
暁人のはっとするような真摯な眼差しと眼が合う。
暁人の手が差し出される。
「踊ってくれ、薫…。頼む」
真剣な声に図らずも胸がときめいた。

薫はわざと仏頂面をして、渋々手を握り返した。
「…仕方ないな」
暁人の貌が喜びに輝く。
「薫!ありがとう…」
「イブだからな。特別だ」

二人は人々の踊りの輪に加わった。


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