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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第6章 いつか、愛を囁いて
暁人のダンスは驚くほど巧みで、洗練されてさえいた。
テイルコートをきちんと着こなした気品ある姿はもはや立派な青年だ。

「…お前、ワルツ上手いな」
思わず正直に感想を漏らす。
暁人が嬉しそうに薫を引き寄せる。
「練習したんだ。家のメイド相手に毎晩」
「…お前…それ絶対、誤解されているぞ…」
呆れたように首を振る。
暁人の端正な瞳が薫を見つめ、貌を近づけると熱く囁く。
「…薫…。好きだよ」
思わず赤くなる。
「ばか…よせよ…こんなところで…」
暁人は少しも構わずに、薫の華奢な腰を抱きしめる。
「…薫…。愛しているよ…」
「…暁人…。僕は…」
みなまで言わさずに、強く手を握りしめる。
迷いのない言葉が聞こえた。
「いつか僕を愛して…。いつか…でいいから…」
「…暁人…」
男らしい暁人の言葉に、少しだけ胸がきゅんと締め付けられる。
…少しだけだ…。
薫は自分に言い聞かせる。

そして、つんと顎を反らすとわざと高飛車に答える。
「…考えておく…」
暁人の瞳が喜びに輝く。
「…薫…‼︎」
二人は大胆にターンする。
思わず貌を見合わせて笑う。
シャンデリアの眩い光に、若い二人の姿が生き生きと輝き出した。
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