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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第8章 真夜中のお茶をご一緒に
司の部屋のソファに座り、脚をぶらぶらさせていた薫が飛び上がり、険しい貌で泉に駆け寄る。
「え⁉︎そんなのだめだよ‼︎泉は毎年僕と箱根に行くんだから‼︎」
泉は司の枕元の小机に盆を置き、司が白い寝間着のままなことに気づくと、華奢な肩にガウンを羽織らせた。
「ええ。そうですね。…けれどもうそろそろ、下僕長の和穂に私の代わりに責任者として任せてはいかがでしょうか。…いつまでも私が指示を出すのでは、なかなか経験が積めませんし。…これが良い体験になるのでは…と」
薫が泉のテイルコートの裾を握りしめ、目を吊り上げる。
「それなら和穂に司さんのお世話をさせればいいじゃないか!」
光がすぐに首を振る。
「経験が浅い和穂一人に司さんのお世話を任せる訳にはいかないわ。司さんはまだお熱があるんですもの。
…泉は司さんが最も信頼を寄せているし…それが一番良い選択かも知れないわね」
薫が気色ばんで光に食ってかかる。
「お母様‼︎僕はどうなるんだよ、僕は‼︎」
光が呆れたように薫の額を指で弾く。
「貴方はもう13歳でしょう?いつまでも泉、泉って子どもみたいに…。ちょうど良いわ。貴方もこれを機に泉から自立しなさい」
薫が足を踏み鳴らし癇癪を起こす。
「…なんだよ、鬼ババ!人でなし‼︎」
光の美しい目が釣り上がる。
「なんですって⁈もう一回言ってご覧なさい!芦ノ湖に叩き込んでやるから!」
とても普段の美しく気高い姿からは想像できないような啖呵を切る光に司は目を丸くする。

一触即発の闘犬状態になった二人の間に、菫が可愛らしい足音を立てて駆け込んで来る。
「おかあちゃま!おとうちゃまがよんでいらっしゃるわよ!」
ふわふわの暖かそうなモヘアの白いケープに白いベレー帽を被った菫は天使のように可愛らしい。
「菫…。お支度はできたの?」
光はすぐに優しい微笑みを浮かべる。
「できたわ!…ねえ、おかあちゃま。カイザーも連れていっていいでしょう?」
「いいわよ。…置いて行っても番犬にもならないしね」
光は菫の後を嬉しそうに付いて来たカイザーを見下ろし、肩を竦めた。
むっとする薫を他所に菫は泉に抱きつく。
「ねえ、泉!すみれ、湖でスケートするの!おとうちゃまが今年はすみれも連れていってくださるって!」
泉が愛おしげに菫を抱き上げる。
「それはようごさいました。…泉はお土産話しを楽しみにしておりますよ」




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