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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第9章 さよなら、初恋
扉の奥から貌を覗かせたのは、白い裾の長い寝間着を着た薫だった。
「…薫…。どうしたの?」
薫はどこか照れたような…怒ったようなむっとした貌のまま無言で部屋に入り、暁人のベッドに潜り込んで来た。
「…薫…」
「誤解するなよ。一人じゃ寝付けないから来ただけだから!」
偉そうな薫の態度に暁人は困ったように笑い、薫の為にスペースを空けてやる。
「変なことしたら許さないからな!」
可愛らしい唇を尖らせて暁人を睨みつける薫に暁人は吹き出す。
「変なことって…いやらしいことっていう意味?」
言いながら、薫の頭に腕枕をしてやる。
「そ、そうだよ。…僕の傷心につけこんでそんなことしたら嫌いになるからな!」

笑いながら薫の清らかな額に額をつける。
「…へえ。…じゃあ薫は今は僕のこと好きなの?」
ぐっと詰まったような表情になり、そっぽを向く。
「…そっ…それは…まあ、普通に好きだよ。暁人のことは…」
「…普通に…か。…まあ、いいや」
そうして白い寝間着の身体を背中から抱きしめる。
華奢な身体はびくりと震えた。
「…薫はもうすぐ僕のことを大好きになるから、いいよ」
「なんだよ、それ…」
「…予感だよ。…薫は絶対、僕のことを大好きになる。…愛してくれる。
…いや…暗示に掛けたいだけかな…」
最後はやや気弱な口調の暁人の腕を振りほどいたりせずに、その腕に貌を押し当てる。
「…なんだよ、それ…」
当惑したような小さな声…。
その声ごと強く抱きしめる。
薫のシャボンの薫りと…少し麝香めいた匂いを吸い込みながら、その艶やかな髪にくちづける。
「…いいんだ。僕が薫を愛しているということだけで。僕は満足なんだ」
…だから…おやすみ、薫…。
そう桜貝のように可憐な耳朶に囁いた。

「…暁人のバカ…」
憎まれ口を聞いたあと、微かに…
「…ありがとう…」
と、聞こえたのは夢だったかもしれない…。
二人は同じ頃に眠りの世界に引き込まれていったからだ…。
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