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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第9章 さよなら、初恋
乱暴にドアを押し開け、入ってきたのは…薫であった。
「…司さん。お話があります。温室に来ていただけますか?」
薫は今、大紋家から帰宅したらしい。
人形のように整った貌には笑みはなく、その表情は硬く眼差しの強さだけが顕著に目立っていた。
司は先日、泉のベッドで眠っていたところを薫に目撃されたのを思い出した。
やや困惑したように薫を見つめ返す。
そして、彼に詫びなくてはならないことに気づいた。
しかし傍にいる暁の手前、そこまで明け透けな話をするのは憚られ口籠っていると、薫が業を煮やしたように言い放った。
「温室でお待ちしています」
常にない薫のピリピリした様子に、暁がやんわりと明るく口を挟んだ。
「どうした?薫。二人で秘密の話かな?」
それに対して薫は、やや丁寧な口調で
「暁叔父様。後ほどご挨拶に伺います。
…僕は司さんと大切な話があるんです」
そう答えると、さっさと部屋を出て行った。
「…大丈夫かな?薫と何かあった?」
心配する暁を安心させるように、司は笑った。
「大丈夫です。…少し薫くんとお話してきます。
暁さんは礼也さんのお部屋に行かれて下さい。先ほどからお待ちになっていらっしゃいましたよ」
「…うん。分かった…。…じゃあ、またね」
司は暁を笑顔で見送るとふっと溜息を吐いて、クローゼットからジャケットを取り出し、シャツの上に羽織った。
…薫くん…か…。
泉にべったりと甘え、恋人のように側を離れない少年だ…。
…何と話したらいいのかな…。
司は再び小さな溜息を吐いた。
「…司さん。お話があります。温室に来ていただけますか?」
薫は今、大紋家から帰宅したらしい。
人形のように整った貌には笑みはなく、その表情は硬く眼差しの強さだけが顕著に目立っていた。
司は先日、泉のベッドで眠っていたところを薫に目撃されたのを思い出した。
やや困惑したように薫を見つめ返す。
そして、彼に詫びなくてはならないことに気づいた。
しかし傍にいる暁の手前、そこまで明け透けな話をするのは憚られ口籠っていると、薫が業を煮やしたように言い放った。
「温室でお待ちしています」
常にない薫のピリピリした様子に、暁がやんわりと明るく口を挟んだ。
「どうした?薫。二人で秘密の話かな?」
それに対して薫は、やや丁寧な口調で
「暁叔父様。後ほどご挨拶に伺います。
…僕は司さんと大切な話があるんです」
そう答えると、さっさと部屋を出て行った。
「…大丈夫かな?薫と何かあった?」
心配する暁を安心させるように、司は笑った。
「大丈夫です。…少し薫くんとお話してきます。
暁さんは礼也さんのお部屋に行かれて下さい。先ほどからお待ちになっていらっしゃいましたよ」
「…うん。分かった…。…じゃあ、またね」
司は暁を笑顔で見送るとふっと溜息を吐いて、クローゼットからジャケットを取り出し、シャツの上に羽織った。
…薫くん…か…。
泉にべったりと甘え、恋人のように側を離れない少年だ…。
…何と話したらいいのかな…。
司は再び小さな溜息を吐いた。