この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第9章 さよなら、初恋
薫の涙に濡れた頬を優しく白いハンカチで拭ってやる。
「…叔父様は…どうやってその恋を忘れたの?」
「…暗闇に閉ざされた僕の目の前に…明かりを灯してくれた人に出会えたからさ…」
眼を細めてそっと囁く暁はまるで月に照らされて密やかに…しかし輝かしく咲く蓮の花のように美しく、薫は思わず見惚れる。
「それって…月城…?」
暁は微笑む。
「…そうだよ。…月城は、僕の凍えた心と身体を丸ごと温めてくれた。
辛い恋の想い出ごとね…。忘れなくてもいい…その恋も、僕の大切な歴史だから…と、彼は言ってくれたんだ」
…あの氷のように冷ややかな美貌の執事が…そんなに情熱的なことを言ったのか…。
薫は驚いた。
そして改めて暁と月城の愛と信頼の深さを思い知らされた。
…だから二人の寄り添う姿はとても美しいのだ…とも。

暁は薫の頭を優しく撫でながら、慰撫を与えるように告げる。
「薫にもきっとそんな人が現れる。…君のことを誰よりも愛して、誰よりも大切にしてくれる人が…。
君はこんなに綺麗で魅力的なんだから…」

薫の脳裏に暁人の面影が鮮明に浮かんだ。
…愛しているよ、薫…。
お前が誰よりも好きだ…。

「…そうかな…」
「そうに決まっているさ。…薫は泉の秘蔵っ子だからね」
そうして薫を一度強く抱きしめると、その瞳をじっと見つめた。
「…でもその前に、君がしたことを謝らなくてはね。まずは泉…。それから司くんに…。二人の誤解を解けるのは、薫だけなんだよ。
…愛する人をいつまでも悲しませたくはないだろう?」
薫は暁の美しい双眸を見つめ返すと、しっかりと頷いた。
…そして
「…泉に本当のことを話して謝る…それから司さんにも…ちゃんと謝る。
…だから…」
再びしゃくりあげながら、暁の胸に貌を埋めた。
「…せ、泉が辞めさせられたりしないよね…?」
暁はふっと優しく笑い、その震える小さな背中を抱きしめた。
「…僕が力になるよ…。兄さんの方は任せてくれ」
その言葉を聞いて、薫は再び声を放って泣いた。
「…あ、暁叔父様…あ、ありがとう…」
箍が外れたように泣き続ける薫を、暁は愛おしげに抱きしめるのだった。
/954ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ