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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第2章 初戀のひと
…僕には肉親は兄さんとお父様しかいないと思っていた。
それが今、一人増えた…。
…この小さくて温かくて可愛い存在…。
紛れもなく、僕と同じ血が流れている…僕の肉親なんだ…。
暁の心が今までになく温かく満たされる。

暁はもう一度、礼也から薫を受け取り、しっかりと抱く。
「…薫くん、初めまして…よろしくね…」
礼也が愛おしいそうに、暁を見つめる。
「…ありがとう、暁…」
暁が礼也を見上げ、微笑み返した時…。

部屋の扉が密やかにノックされ、執事の生田の声が聞こえた。
「…大紋様がお見えになられました」

息を呑み、振り返る。
大紋が黒い上下の正装を身につけ、颯爽と入って来た。
暁を見つけ少し驚いたような表情をしたが、すぐに人好きする笑顔で、礼也に握手を求めに近づいた。
「おめでとう、礼也!光さんも、お元気そうで何よりです」
「ありがとう、春馬」
二人は強く握手を交わしながら、笑い合う。
「無事に産まれたと聞いて、どうしても早くお祝いを言いたくてね」
そして、傍らの暁の腕の中ですやすや眠る薫を見つめ、目を細める。
「…可愛いな…。光さん似かな?…いや、礼也にも似ているな…」
暁は、そっと大紋に薫を差し出す。
大紋は一瞬、暁を見つめ微笑むと慎重に薫を抱き上げた。
「…まだ軽いな…。だがやっぱり男の子だ、体がしっかりしている」
赤ん坊を抱き慣れている大紋を見て…
…ああ、春馬さんも同じ父親なんだ…。
と、改めて思う。
「お前の暁人くんも、新生児のころはこんな感じだったのか?」
礼也が興味津々に尋ねる。
「…そうだな。…暁人はもう少し小柄だったかな。…今はかなり大きくなったけれどね…」
暁は伏し目がちになる。
大紋の口から暁人という名前が出ると、やはり少し胸が疼く。
…君の名前を貰ったよ…。どうしても、君の名前を付けたくて…。
大紋はそう言った…。

「暁人くんは産まれてもう半年か?」
「…ああ、どこでもハイハイして行くから目が離せない。やっぱり男の子は活発だね…」
暁は静かに微笑む。
…春馬さんの子どもの話を、こんなに温かい気持ちで聞けるなんて、思ってもみなかった…。
…それは、やはり月城のお陰だ。
月城が僕を愛してくれて、僕も彼を心から愛しているから…幸せだから、こんな気持ちでいられるのだ…。

暁は穏やかな眼差しで、薫を優しく抱く大紋を見つめて続けていた。
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