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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第9章 さよなら、初恋
…最初から彼は司をライバル視していた。
何くれとなく司の世話を焼く泉を腹立たしく思っていたようだ。
あれは全て司への嫉妬の表れだったのだろう。

薫は…泉とセックスをしたと言っていたけれど、本当なのだろうか…。
さすがに泉も、まだ13歳の主人の息子と身体を重ねるような真似はしないのではないか…。
…泉は大胆だが良識的で忠義的な人間だ。
そんなことをするような人物には、とても思えない…。

…それとも…
司は自嘲気味に笑う。
…僕がそう信じたいだけなのかな…。

青山の司の肩を抱きしめる手にゆっくりと力が入る。
「…彼をまだ好き…?」
「…え…?」
薄茶色の瞳で青山を見上げると、存外に近い距離で視線が合った。
司は一言も恋人は男性とは言わなかったが、青山はとっくに見抜いていたようだ。
司から漂う雰囲気で同族と判断していたのだろうか。
「…彼とは寝たの?」
言葉を取り繕わなくて良い気楽さから司は素直に頷いた。
「ええ。寝ました」
「どうだった?」
他の人間だと不愉快に思う明け透けな質問も青山だと不思議なほど不快に思わない。
「…良かった…です…とても優しくて…それでいて情熱的で…」
…優しくかつ大胆な荒々しさで司の全てを攫い、濃厚な愛撫を与えてくれた…。
泉相手だと自由に奔放になれる自分がいた。
…真紀とのセックスも好きだったけれど、彼は自分がイニシアチブを握り、司を征服して快感を与えることに悦びを見出すタイプだった。
司はそれに従順に従っていた。
…それが真紀を悦ばせ、愛されることだと信じていたからだ。

しかし泉は自由に司を愛し、また自由に快楽の波に漂わせてくれた。泉のしたいように身も心も導いてくれた。
身体から快美感が溢れ出し、甘く痺れるような悦楽を味わせてくれたのも泉だった。

司の心の中を見透かすように青山が囁く。
「…身体の相性は大切だよ。身体と心は切り離せないからね。…そんなにも君の身体も心も蕩かすひとを、簡単に諦めていいのかな?」
「…青山さん…」

青山は、その手と同じ上等の絹のような艶やかな声で続ける。
「…愛するひとの手を簡単に離してはいけない。…二度と巡り会えないかも知れないからね」
青山の常に落ち着いた大人の余裕に満ちた漆黒の瞳に微かな愛惜の色が浮かんだ。
「…青山さん…?」
…このひとも、かつて哀しい恋をしたのだろうか…。



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