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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第9章 さよなら、初恋
司の眼差しに眼を細め、小さな貌を両手で挟み引き寄せる。
催眠術を掛けるように静かに頬を撫でる。
「…恋が叶うおまじないをしてあげよう…」
司が長い睫毛を瞬かせる。
「…え…?」
…青山の睫毛が司のそれに重なりそうになるほど、近づいたその時…。
窓際のバルコニーから男の叫ぶ声と、激しく窓硝子を叩く音が響き渡った。
「ちょっと待った〜ッ‼︎司様〜ッ‼︎司ッ‼︎その男は誰なんだよ〜ッ‼︎」
吃驚した司は立ち上がる。
「泉!ど、どうしてそんなところから…‼︎ここは三階だよ⁉︎」
慌ててバルコニーに駆け寄り窓硝子を開ける。
バルコニーから息を荒げながら部屋の中に雪崩れ込んだ泉は
「…ここのメイドに外梯子から司の部屋に入れるって教えられてさ。…結構錆びてて死ぬかと思ったよ…あれは早く直した方がいいな…じゃなくて‼︎
その男は誰なんだよ⁉︎」
泉が怒りに震えながら指差す先の青山は感に耐えたように歓声を上げた。
「素晴らしい!なんて勇敢なロミオなんだ!
美しいジュリエットに逢いに、危険も顧みずにこの城の塔をよじ登るとは!」
青山は泉にゆっくりと歩み寄り、眼を細めて鑑賞するように全身を眺める。
「…なんと美男子な執事だ!禁欲的なその制服が、堪らなくセクシーだね」
艶っぽい流し目をされ、泉はぞくりと背筋を震わせる。
青山はその長く美しい指で泉の顎を持ち上げ
「執事とホテル王の孫…。身分違いの禁断の恋…だな。なんと麗しい恋物語だろう。…美しい二人の恋は得難い宝石のようなものだ」
と唄うように囁いた。
そして司を抱きしめ、その頬にキスをして耳元で囁く。
「…ちゃんと話し合って仲直りするんだよ」
司は薄茶色の瞳を見張る。
「…青山さん…」
「それではご機嫌よう。美しいロミオとジュリエット。
今日は眼福だったよ」
青山は笑顔で手を挙げると、颯爽とした後ろ姿を見せながら部屋を後にした。
催眠術を掛けるように静かに頬を撫でる。
「…恋が叶うおまじないをしてあげよう…」
司が長い睫毛を瞬かせる。
「…え…?」
…青山の睫毛が司のそれに重なりそうになるほど、近づいたその時…。
窓際のバルコニーから男の叫ぶ声と、激しく窓硝子を叩く音が響き渡った。
「ちょっと待った〜ッ‼︎司様〜ッ‼︎司ッ‼︎その男は誰なんだよ〜ッ‼︎」
吃驚した司は立ち上がる。
「泉!ど、どうしてそんなところから…‼︎ここは三階だよ⁉︎」
慌ててバルコニーに駆け寄り窓硝子を開ける。
バルコニーから息を荒げながら部屋の中に雪崩れ込んだ泉は
「…ここのメイドに外梯子から司の部屋に入れるって教えられてさ。…結構錆びてて死ぬかと思ったよ…あれは早く直した方がいいな…じゃなくて‼︎
その男は誰なんだよ⁉︎」
泉が怒りに震えながら指差す先の青山は感に耐えたように歓声を上げた。
「素晴らしい!なんて勇敢なロミオなんだ!
美しいジュリエットに逢いに、危険も顧みずにこの城の塔をよじ登るとは!」
青山は泉にゆっくりと歩み寄り、眼を細めて鑑賞するように全身を眺める。
「…なんと美男子な執事だ!禁欲的なその制服が、堪らなくセクシーだね」
艶っぽい流し目をされ、泉はぞくりと背筋を震わせる。
青山はその長く美しい指で泉の顎を持ち上げ
「執事とホテル王の孫…。身分違いの禁断の恋…だな。なんと麗しい恋物語だろう。…美しい二人の恋は得難い宝石のようなものだ」
と唄うように囁いた。
そして司を抱きしめ、その頬にキスをして耳元で囁く。
「…ちゃんと話し合って仲直りするんだよ」
司は薄茶色の瞳を見張る。
「…青山さん…」
「それではご機嫌よう。美しいロミオとジュリエット。
今日は眼福だったよ」
青山は笑顔で手を挙げると、颯爽とした後ろ姿を見せながら部屋を後にした。