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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第9章 さよなら、初恋
「…司の身体が良すぎて止まらなかった…ごめん…」
謝りながらもまた淫らなくちづけを迫る泉に、司の身体は温められた蜜蝋のように柔らかく蕩けてしまう。
「…ばか…」
キスを返しながら、男のシャツ越しの逞しい胸に貌を埋める。
…結局彼は服を脱がなかった。
二度目の性交の時もジャケットを脱ぎ、ネクタイだけを外したままで司を奪った。
…糊の効いたシャツと禁欲的なスラックス姿の男に挑まれるのは、まるで無理やり犯されているかのようで、司の身体の芯は甘く疼いた。
「…司様…。帰っていらっしゃいますね?縣のお屋敷に…」
敬語に戻った泉のやや心配げな声が鼓膜に届く。
「…泉は?帰って来て欲しい?」
「もちろんです。司様は旦那様が司様のご両親よりお預かりした大切なお客様です。
このままこちらにおられては、旦那様の面目にも関わります」
敬語に戻った泉はどこか他人行儀で、司はつい不満になり貌を見上げる。
「それだけ?…泉は?僕がいないと寂しい?」
…まさかとは思うが、自分を懐柔する為に抱いたのではないかという疑問すら浮かんだのだ。
そんな司の不安を一掃するように、男は司をその引き締まった腕で強く…しかし優しく抱きしめる。
「…当たり前じゃないか。…お前は俺の恋人だ。司が側にいないと寂しい。仕事にも集中できない。…司は綺麗だし魅力的だから、悪い虫が付かないか心配で堪らない。第一、こんな富豪な家の坊ちゃんだ。本当だったら俺なんかが触れていいような人ではないこともよくわかっている」
「そんなこと…!」
泉の凛々しく整った貌を近づけられ、あんなに愛しあったあとなのに、胸が苦しくなるほどにときめく自分がいる。
「わかっているけれど、俺は司を離さないと決めたんだ。お前が誇りたくなるような…お前に相応しい恋人になる。だから…」
泉の大きな手が司の小さく整った貌を包み込む。
「…俺のそばにいてくれ。…愛しているんだ…」
「…泉…」
…この男の眼差しひとつ、手のひらの温もりひとつで全てを肯定してしまいそうになる自分が照れ臭く…そしてどこかもの哀しい…。
…ああ、また自分は恋に悩み、苦しむ日々が始まるのかと、甘い溜息を吐く。
…けれど…
そんな懸念もどうでもよくなるくらいに、この男が…泉が愛おしい…。
「…僕も…愛しているよ。泉…」
司はやや淋しげな瞳に微笑みを浮かべ、泉にキスをした…。
謝りながらもまた淫らなくちづけを迫る泉に、司の身体は温められた蜜蝋のように柔らかく蕩けてしまう。
「…ばか…」
キスを返しながら、男のシャツ越しの逞しい胸に貌を埋める。
…結局彼は服を脱がなかった。
二度目の性交の時もジャケットを脱ぎ、ネクタイだけを外したままで司を奪った。
…糊の効いたシャツと禁欲的なスラックス姿の男に挑まれるのは、まるで無理やり犯されているかのようで、司の身体の芯は甘く疼いた。
「…司様…。帰っていらっしゃいますね?縣のお屋敷に…」
敬語に戻った泉のやや心配げな声が鼓膜に届く。
「…泉は?帰って来て欲しい?」
「もちろんです。司様は旦那様が司様のご両親よりお預かりした大切なお客様です。
このままこちらにおられては、旦那様の面目にも関わります」
敬語に戻った泉はどこか他人行儀で、司はつい不満になり貌を見上げる。
「それだけ?…泉は?僕がいないと寂しい?」
…まさかとは思うが、自分を懐柔する為に抱いたのではないかという疑問すら浮かんだのだ。
そんな司の不安を一掃するように、男は司をその引き締まった腕で強く…しかし優しく抱きしめる。
「…当たり前じゃないか。…お前は俺の恋人だ。司が側にいないと寂しい。仕事にも集中できない。…司は綺麗だし魅力的だから、悪い虫が付かないか心配で堪らない。第一、こんな富豪な家の坊ちゃんだ。本当だったら俺なんかが触れていいような人ではないこともよくわかっている」
「そんなこと…!」
泉の凛々しく整った貌を近づけられ、あんなに愛しあったあとなのに、胸が苦しくなるほどにときめく自分がいる。
「わかっているけれど、俺は司を離さないと決めたんだ。お前が誇りたくなるような…お前に相応しい恋人になる。だから…」
泉の大きな手が司の小さく整った貌を包み込む。
「…俺のそばにいてくれ。…愛しているんだ…」
「…泉…」
…この男の眼差しひとつ、手のひらの温もりひとつで全てを肯定してしまいそうになる自分が照れ臭く…そしてどこかもの哀しい…。
…ああ、また自分は恋に悩み、苦しむ日々が始まるのかと、甘い溜息を吐く。
…けれど…
そんな懸念もどうでもよくなるくらいに、この男が…泉が愛おしい…。
「…僕も…愛しているよ。泉…」
司はやや淋しげな瞳に微笑みを浮かべ、泉にキスをした…。