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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第2章 初戀のひと
「…そう。…それは良かった…。
こんなことを聞いたら、きっと怒ると思うけれど…セックスの相性もいいの?僕よりも…?」
まるで星座を尋ねるようにさらりと言われ、暁は目を見張った後に、硬い声で答えた。
「…何でそんなこと、聞くのですか?」
「元恋人で暁の初めての男にしてみたら、気になるさ」
…僕は下衆な男だしね…
と、唇を歪める。
それは知的で端整な大紋の貌には不似合いなものだった。
「春馬さんは、下衆な人なんかじゃありません」
ハンドルを握りながら、大紋はちらりと暁を見る。
近寄り難いほど冷めた貌だった。
「…どうして僕が下衆じゃないって判るの?…暁は僕のことを全部知っているの?…知らないよ、本当の僕のことなんか…」
…本当の僕を、君は知らない…と大紋は苦しげに呟く。

暁は切なげに美しい眉を顰める。
震える唇をそっと開く。
「…セックスは…人と比べられるものではありません…。僕は春馬さんに愛されて幸せでした。…僕の…歪んだ性癖を理解して…僕の被虐性を満たすセックスをして下さいました…。
…貴方は僕にとって特別な人です。貴方が思うよりずっと僕は貴方に囚われていました。
…だって…貴方は僕の初めての人なんですから…」
暁の白い頬に透明な涙が流れる。

大紋ははっと我に帰る。
…自分は嫉妬の余り、なんてことを聞いてしまったのだ…!
激しい後悔で大紋の胸は一杯になる。
静かに車を路肩に停める。
「…ごめん…僕は…最低だ。…こんなことを聞いてしまって…」
大紋の大きな手が、暁の震える白い手を握りしめる。
反射的に手を引こうとする暁を強い力で押し留める。
「…春馬さん…」
大紋の熱い眼差しが暁を捉えて離さない。
「…愛しているよ、暁…」
「春馬さん…⁈」
「君を愛している。…ずっと…僕が愛しているのは君だけだ」
「…そんな…」
大紋は暁の手を握りしめるだけで、それ以上のことはしようとはしない。
いや、必死で堪えているのだ。
…その代わり、これまでの思いの丈を吐露するかのように、熱く囁く。
「…絢子は良い妻だ。暁人は目に入れても痛くない程に可愛い。
…けれど、愛する人は君だけだ。生涯、君だけだ。酷い夫だ。酷い父親だ。…けれど仕方ない。人の心は縛れない。…僕は君だけを愛している。…それが本当の僕の心だ」
…そうして、ごめん…と大紋は寂しげに微笑みながら詫びたのだった。

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