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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第2章 初戀のひと
暁は、涙で潤む瞳を上げる。
「…春馬さん…。僕達が結ばれなかったのは、運命です。
…だから、春馬さんは奥様を愛して差し上げてください。…息子さんだって…」
「…分かっているよ。家庭は大事にする。妻も暁人も僕は一生守る。誰よりも幸せにする。…けれど、心は君にある。
…僕の我儘を許してくれ…」
「…春馬さん…。そんなの…駄目です…」
暁は首を振る。
止めどなく流れる涙を、大紋は手を伸ばしそっと拭う。
「…僕は君に、僕のことを忘れて欲しくないんだ。…月城と幸せになってもいい。けれど、僕のことを忘れないでくれ…。軽蔑してもいい。…忘れられるより、ずっといい。
…どう?…僕は君が思うよりずっと人間臭くて嫌な奴だろう?」
大紋は限りなく寂しい微笑みを浮かべる。
暁は何も言えずに、大紋の貌を見つめ続けた。
…春馬さんは、言葉で僕を刻みつけようとする。
僕の心の中に、春馬さんを刻みつけようとする。
…けれど僕はそれを振り払うことは出来ない…。
…だって…春馬さんは…僕の初恋の人だから…。

それを分かっていて、今になって暁の心に生々しい言葉を刻みつけようとする大紋を、暁は初めて酷く憎んだ。

…けれど憎むことは、愛することと表裏一体なのだと気づく。
だから、暁はもうそれ以上、考えることをやめる。
…考えることは振り返ることだ…。
だから…もう考えない…。
暁は、大紋から目を逸らす。

男は暁をじっと見つめ…もう一度、同じ言葉を繰り返す。
「…ごめんね、暁…」
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