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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第2章 初戀のひと
暁はその日の夜、何となく自分の家に居る気になれずに、合鍵を開けて月城の家に入った。
…家に一人でいると余計な事を考えてしまいそうで…

「…いつでもいらして下さい…」
そう微笑みながら合鍵を暁の手のひらに乗せ、握りしめた月城の手の感触を思い出す。

月城は几帳面だ。
部屋はどこもかしこも綺麗に片付けられ、塵一つ落ちていない。
月城の寝室に入る。
布団は仕舞われ、部屋の壁にチャコールグレイのセーターが掛かっていた。

…もうすぐ肌寒くなりますから、暁様ももう少し厚手のお洋服をお召しになった方がよろしいですよ。
…ほら、肩が冷たい…
そう言いながら、暁を身体ごと抱きしめてくれた…。

暁は月城がそうしてくれたように、セーターをぎゅっと抱きしめた。
…月城の匂いがする…。
水仙のような、清廉な薫りを瞼を閉じて吸い込む…。

…昨夜から今朝にかけて、あんなに何度も激しく愛されたというのに…もう月城が恋しい…。
暁は身体の甘い疼きをやり過ごすように、セーターを抱きしめた。

…週末まで、長いな…。
暁は寂し気に、そっとセーターを撫でる。

…その時、玄関のベルがけたたましく鳴った。
暁は玄関の方を見る。
こんな時間に誰だろう…。
時計は10時を指している。

…もしかして…月城…?
急に帰れることになったのかも…。

暁は逸る気持ちを抑えて、足早に玄関に向かう。
再び、ベルが鳴る。
暁は三和土に降りると、ゆっくりとドアを開けた。
「…月城…?」

恐る恐る覗いたドアの外には、背の高い若い男が佇んでいた。
「…月城…?」
薄暗闇の中、眼鏡を掛けていない月城が佇んでいるのだと暁は思った。
目鼻立ちが余りに良く似ていたのだ。

…しかし、その青年は暁を見ると露骨に怪訝そうな貌をして、じろじろと見つめ返した。
「…あんた誰?…ここは月城さんちじゃないの?」
ぶっきら棒な声が響く。

…月城じゃない…でも…よく似ている…。
暁は胸の鼓動を抑えながら、口を開いた。
「はい。ここは月城さんのご自宅です。…あの…失礼ですが、どちら様ですか…?」
青年はやや苛ついたような眼差しをして、面倒臭そうに答えた。
「…俺は月城泉。…ここんちの…月城森の弟だよ。
…で、あんた誰だよ?」
「…つきしろ…せん…さん…?」
暁は驚きの余り、月城の弟と名乗る青年を食い入るように見つめ続けるのだった。



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