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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第11章 海に映る星と月
ねえやの八重と潤が退出し、四人は艶やかな黒檀のテーブルを挟み向かい合わせに座った。

口を開いたのは月城だった。
「…母さん、凜。こちらにいらっしゃるのは縣男爵の弟君の暁様です。暁様は私がお仕えしている北白川伯爵家とご縁の深い…大変な大貴族のお家柄のお方です。
…暁様とはお目にかかってからもう二十年以上になります。
私は最初からずっと暁様に惹かれていました。
お慕いして恋い焦がれ、暁様のおそばにいたいと強く願うようになりました。
今、私と暁様は一緒に暮らしております。
…二人に理解して貰えるか分かりませんが、私と暁様は男同士ですが愛しあっています。法律上では認められていませんが、結婚もしております。
本当は凜の結婚式にも、暁様をお連れしたかった。
…けれど、母さんと凜の反応で暁様を傷つけるのが怖かった。それが暁様にどれだけお寂しい想いをさせるのかも考えもせずに…」
月城が暁を見つめ、震える白い手を優しく握りしめた。
「許してください。暁様」
ひんやりとした月城の手が暁の涙でぼやける。
一粒の涙が月城の銀色の指輪…二人の結婚指輪に落ちる。
「…そんな…いいんだよ…そんなこと…」
…君が僕のそばにいてくれたら…それで何もいらないんだ…。

月城は二人の前でも構うことなく、暁の手を強く握りしめる。
「私はもう貴方に肩身の狭い想いをさせたくはないのです。…貴方には堂々と前を向いて歩いていただきたい。
…私とともに、永遠に…」
…だから…
と、月城は母親と凜の方を向き直った。
「…暁様は私の生涯の伴侶です。…二人が私を愛してくれるなら、同じように暁様を愛してほしい。私の願いはただそれだけです」
そう静謐な声で告げると、母親と妹に向かい深々と頭を下げた。
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