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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第11章 海に映る星と月
凜の夫、鶴来修一が役場から帰宅し、和室の大広間では二人の歓迎の宴会が開かれた。
一枚檜の卓一杯に松葉蟹、牡丹海老、ホタル烏賊など北陸の海の幸や治部煮など温かみのある郷土料理が並べられた宴席で、修一は律儀に礼を述べた。
「…暁様。縣男爵様には私達家族全員に素晴らしい贈り物を頂戴して…申し訳ありません」
礼也と光は数日前に月城の母と凜の家族に山のような土産を贈っていたらしい。
…月城の母には上等の結城紬の反物と帯と瑪瑙の帯留め、凜には宇和島産の真珠の首飾りとコティのコンパクト、修一にはモンブランの万年筆とルイ・ヴィトンの旅行鞄、潤には三越の子ども用三輪車と司の母の店の子供服一揃いだ。

「暁さんが舐められないように、最高級品を贈らなくちゃ!」
とても貴族の奥方と思えないような乱暴な物言いをしながらも、光は生き生きと指示をしていた。
礼也も光も暁を思ってのことなので、仕方がない。
「…すみません。…兄も義姉も僕に少し過保護なところがありまして…」
恐縮したように詫びる暁を、修一は眩しそうな眼差しで見た。
「いいえ。暁様のようにお美しい方ならご心配にもなるでしょう。…私も美人は凜で見慣れている筈なのに今日暁様にお目にかかってどきどきしました…。
義兄さんのお気持ちが少し分かりましたよ」
修一は凜から予め二人の関係を聞いていたようだ。
ユーモアを交え素直に語る修一に凜が苦笑する。
「あんたはもう…でも、ほんまやね。東京には暁様みたいに綺麗な男性がたくさんおられるのやろうか?」
「いや。僕も10年以上東京に居たけれど、こんな綺麗な方は見たことがないな。
…あ、凜ももちろん美人だよ。
…というか僕には凜が一番美人だよ」
妻を臆面もなく賛美する修一に凜が照れながら軽く睨む。
「…もう!兄さんや暁様の前で…。恥ずかしいやないの」
一同から温かい笑いが漏れる。
そこにねえやに連れられた潤が駆け寄る。
「おかあちゃま!さんりんしゃ、のれたよ!」
凜は笑いながら潤を抱き上げる。
「良かったねえ。潤。暁様にお礼を言うまっし」
「…ありがとうございます…」
潤は少しはにかみながら、しかしきちんと礼を言った。
その可愛らしさに暁の胸は湯に浸かったように温かくなる。
「どういたしまして。潤くん」
…信じられないくらい、幸せだ…。
暁は泣きたくなるような幸福感を噛み締めた。




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