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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第11章 海に映る星と月
月城が暁を振り返る。
ステンドグラス越しに差し込む陽の光に照らされた男は息を呑むほどに美しく、静謐で…何度見ても暁の胸は締め付けられる。
「…君と梨央さんは相思相愛だったはずだ。…兄さんに遠慮して…君は梨央さんを諦めたのだろう?」
「…暁様…?」
つい焼きもちのような口調になるのを抑えることができずに、暁は寂しげな表情を浮かべた。
「君と梨央様はお似合いだったよ。…今もだけれど…お美しい梨央様に仕える君はお伽話の美しい騎士みたいだった」
…そう、初めて見た時から思っていた…。
まるで美の女神が愛情を込めて真珠と絹と芳しい花のみで作り上げたように美しく可憐な梨央に傅く月城は夢物語の主人公のように端麗で…麗しい絵の如く暁を心酔させたのだ。
月城がゆっくりと暁に近づく。
「…私は旦那様に感謝しています。
ここで見出して頂けたおかげで、貴方に出逢えた。
…ここがなければ私は貴方に巡り会うことはできなかった。
…梨央様は今でも私にとっては触れることのない谷間の白百合です。手に触れたいとも思わない。
そこに存在して…お幸せならばそれでいい。
けれど貴方は違う。
貴方には誰にも触れさせたくない。私だけが貴方に触れることができる。美しい貴方を私だけが独占できる…この美しい生身の身体を…」
思わぬ言葉に火が点いたかのように身体が火照る。
けれど少し拗ねてみせる。
「僕の良いところは身体だけ…?」
月城は美しい瞳を細め、宥めるように微笑む。
その華奢な…謎めいた夜の白い花のような身体を抱き寄せる。
「…身体と心は切り離せません。…貴方の身体も心も…私は両方愛おしいのです。貴方のいつも寂しげな心を…私だけが温められるのだと自負しています」
ひんやりした手が暁の唇に触れる。
「…月城…」
愛の言葉はまだ終わらなかった。
「貴方に出逢えて初めて私は恋の苦しさと甘やかさと切なさと…そして幸福を知りました。
この方を喪えば、私の世界は全て消滅すると思わせたのは貴方が唯一の方です。貴方が私の腕の中にいるのが未だに奇跡のように思えます。毎朝、貴方の寝顔を見てその僥倖を神に感謝しています …貴方に触れ合え、愛し合える奇跡を…」
ステンドグラスを背にし、光に包まれた月城の姿が涙で滲む。
「…月城…」
「それくらい私は貴方に夢中なのですよ…」
「…僕もだ。月城…」
二人は静かな優しいキスをした。
ステンドグラス越しに差し込む陽の光に照らされた男は息を呑むほどに美しく、静謐で…何度見ても暁の胸は締め付けられる。
「…君と梨央さんは相思相愛だったはずだ。…兄さんに遠慮して…君は梨央さんを諦めたのだろう?」
「…暁様…?」
つい焼きもちのような口調になるのを抑えることができずに、暁は寂しげな表情を浮かべた。
「君と梨央様はお似合いだったよ。…今もだけれど…お美しい梨央様に仕える君はお伽話の美しい騎士みたいだった」
…そう、初めて見た時から思っていた…。
まるで美の女神が愛情を込めて真珠と絹と芳しい花のみで作り上げたように美しく可憐な梨央に傅く月城は夢物語の主人公のように端麗で…麗しい絵の如く暁を心酔させたのだ。
月城がゆっくりと暁に近づく。
「…私は旦那様に感謝しています。
ここで見出して頂けたおかげで、貴方に出逢えた。
…ここがなければ私は貴方に巡り会うことはできなかった。
…梨央様は今でも私にとっては触れることのない谷間の白百合です。手に触れたいとも思わない。
そこに存在して…お幸せならばそれでいい。
けれど貴方は違う。
貴方には誰にも触れさせたくない。私だけが貴方に触れることができる。美しい貴方を私だけが独占できる…この美しい生身の身体を…」
思わぬ言葉に火が点いたかのように身体が火照る。
けれど少し拗ねてみせる。
「僕の良いところは身体だけ…?」
月城は美しい瞳を細め、宥めるように微笑む。
その華奢な…謎めいた夜の白い花のような身体を抱き寄せる。
「…身体と心は切り離せません。…貴方の身体も心も…私は両方愛おしいのです。貴方のいつも寂しげな心を…私だけが温められるのだと自負しています」
ひんやりした手が暁の唇に触れる。
「…月城…」
愛の言葉はまだ終わらなかった。
「貴方に出逢えて初めて私は恋の苦しさと甘やかさと切なさと…そして幸福を知りました。
この方を喪えば、私の世界は全て消滅すると思わせたのは貴方が唯一の方です。貴方が私の腕の中にいるのが未だに奇跡のように思えます。毎朝、貴方の寝顔を見てその僥倖を神に感謝しています …貴方に触れ合え、愛し合える奇跡を…」
ステンドグラスを背にし、光に包まれた月城の姿が涙で滲む。
「…月城…」
「それくらい私は貴方に夢中なのですよ…」
「…僕もだ。月城…」
二人は静かな優しいキスをした。