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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第11章 海に映る星と月
月城の母が経営している定食屋は昼時で大変混んでいた。
小さな漁港に面したその店は、安くて美味い料理を出すことで評判で、常連客も多いのだ。
今も早朝漁から帰った威勢の良い漁師たちで溢れ返り、店内は活気を帯びていた。
「こんにちは。お邪魔します」
暖簾を潜り入ってきた暁と月城に、一瞬賑やかな店内は静まり返った。
船から上がったばかりの身なりの漁師たちの中で、セーターとコート姿とはいえ、辺りを払うような類を見ない美貌の二人は大変に眼を惹く。
月城はもちろん、暁のこの世の者とは到底思えぬほどの艶やかで嫋々とした匂やかな美しさは彼らの眼を虜にした。
漁師たちは丼飯を掻き込む箸を止め、呆気に取られながら暁たちを見つめていた。
「まあ…暁様…森…。こんなところまでいらしていただいて…」
月城の母、楓が慌てて三角巾を取る。
漁師たちの好奇の視線をものともせずに、厨房に入った暁はシャツの腕まくりをすると月城の母、楓に笑いかけた。
「お邪魔します。お母さん、僕、洗い物をします。
…料理はからっきしなので、お手伝いできないので…すみません」
「そんな…暁様に洗いもんなんてさせられません」
慌てふためく楓に
「させてください。こう見えても経営しているビストロで忙しい時はオーダーを取ったり、裏方を手伝ったりしているんです」
と、柔らかな物腰ながらも決して引かない。
戸惑う楓に月城は言う。
「母さん、手伝わせてくれ。暁様はどうしても母さんの役に立ちたいと言われて聞かないんだ」
楓は、ふっと表情を和らげた。
「…そう。じゃあ、お願いしようかね」
暁は嬉しそうに元気に頷いた。
「はい!」
小さな漁港に面したその店は、安くて美味い料理を出すことで評判で、常連客も多いのだ。
今も早朝漁から帰った威勢の良い漁師たちで溢れ返り、店内は活気を帯びていた。
「こんにちは。お邪魔します」
暖簾を潜り入ってきた暁と月城に、一瞬賑やかな店内は静まり返った。
船から上がったばかりの身なりの漁師たちの中で、セーターとコート姿とはいえ、辺りを払うような類を見ない美貌の二人は大変に眼を惹く。
月城はもちろん、暁のこの世の者とは到底思えぬほどの艶やかで嫋々とした匂やかな美しさは彼らの眼を虜にした。
漁師たちは丼飯を掻き込む箸を止め、呆気に取られながら暁たちを見つめていた。
「まあ…暁様…森…。こんなところまでいらしていただいて…」
月城の母、楓が慌てて三角巾を取る。
漁師たちの好奇の視線をものともせずに、厨房に入った暁はシャツの腕まくりをすると月城の母、楓に笑いかけた。
「お邪魔します。お母さん、僕、洗い物をします。
…料理はからっきしなので、お手伝いできないので…すみません」
「そんな…暁様に洗いもんなんてさせられません」
慌てふためく楓に
「させてください。こう見えても経営しているビストロで忙しい時はオーダーを取ったり、裏方を手伝ったりしているんです」
と、柔らかな物腰ながらも決して引かない。
戸惑う楓に月城は言う。
「母さん、手伝わせてくれ。暁様はどうしても母さんの役に立ちたいと言われて聞かないんだ」
楓は、ふっと表情を和らげた。
「…そう。じゃあ、お願いしようかね」
暁は嬉しそうに元気に頷いた。
「はい!」