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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第2章 初戀のひと
月城の厳しい貌の詰問は続く。
「…で?お前はこれからどうするつもりなんだ?」
泉は月城に良く似た端正な貌で、余り懲りていないような気楽な表情を浮かべて肩を竦めて見せた。
月城にない野性味溢れる色悪の色気のようなものを醸し出す青年だ。
「…別に。もう兄貴には迷惑かけねえよ。…吉原辺りの色街で客引きでもするかな」
暁が叫んだ。
「そんなの駄目だよ。泉くんみたいに前途ある若者が、そんないかがわしい仕事をするなんて良くない」
色街には嫌な思い出しかない暁が、すぐさまに反対した。
「…松濤の屋敷で先日、下僕が一人郷に帰って人手が足りない…て生田が言っていたんだ。
近い内に新聞社に募集広告をかけるとも…。
…月城、泉くんをうちで働かせてみてもいいかな?」
「しかし、暁様…」
縣家で働かせて貰えるならこんなに良い話はない。
執事の生田は厳しいが大変な人格者だし、他の使用人も人の良いものが多かった。
何より、主人の礼也と光の人物は間違いがない。
使用人を大切にするし、偉ぶらない。
二人共、高潔で尊敬に値する立派な主人だ。
もし、上手くいけばこの上ない職場となるだろう。
…だが…

「…泉は問題を起こして、公爵家を首になりました。
従って推薦状もありません。…生田さんや縣様がご納得下さるでしょうか…」
心配する月城に、暁は安心させるように微笑む。
「大丈夫だよ、僕が保証人になる。…生田も兄さんも僕が説得する。…本当は北白川家で働かせたいだろうけれど…肉親が同じ屋敷というのは遣り難いだろうしね…」
暁の言うことは全て至極真っ当であった。

蚊帳の外の泉がふて腐れた声を出す。
「ちょっとさあ、俺の仕事なのに俺抜きで話が進んでない?」
暁は慌てて詫びる。
そして、優しく微笑みながら尋ねた。
「ごめんね、泉くん。…君はまた下僕の仕事をやる気はあるかな?」
まるでお伽話の王子様のように美しく艶やかな青年に至近距離で見つめられ、泉はどきりとする。
「…や、やれるならやりたいよ。…俺、第二下僕から第一下僕に昇進できそうだったんだ。…下僕の仕事は割と好きだったし…色んなことを覚えられて、楽しかったんだよね」
どうやら泉は兄に似て賢く、向上心を持って働く性格らしい。根は素直なのだと、暁は嬉しくなった。
暁はにっこりと笑った。
「…じゃあ、決まりだ。明日、僕と一緒に松濤の屋敷に行こう」
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