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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第2章 初戀のひと
泉を一足先に隣家の自宅へ帰し、月城は暁と二人きりになると、頭を下げた。
「…誠に申し訳ありません。…このように暁様のお手を煩わせるようなことになりまして」
暁は慌てて、月城の腕に手をかける。
「やめてくれ、月城。…僕は嬉しいんだ。君の役に立つことが…」
「…暁様…」
月城の貌を見上げる。
業務の途中で慌ただしく出てきたのだろう。
いつも乱れることなくきちんと整えられている髪が、一筋、額に掛かっているのが男の色気を醸し出している。
月城はやや疲れたように、こめかみを抑え溜息を吐いた。
「…泉は幼い頃は素朴で真面目な良い子だったのですが…。いつの間にあんなにいい加減な軽薄な人間になったのか…私も故郷を離れてだいぶ経ちますので…その変化には驚かされました。…全く…醜聞を起こして職場を首になるなど、あり得ないことです…」
普段と違う、途方にくれた月城の様子に胸が疼く。
いつも落ち着いて、全く感情を露わにすることがない月城が自分の前で心の内を吐露してくれるのが嬉しい。
暁は、月城に抱きつく。
水仙の薫りは変わらない…。
安心する月城の薫りだ…。
「…暁様?」
「…少し困っている月城って、可愛い…」
暁は小さく笑う。
「暁様…」
月城の貌を見上げる。
困惑したような、途惑うような表情をしている。
その端正な彫像のような貌を指先でなぞる。
「…これからも僕に弱い君を見せて…。どんな君でも大好きだから…」
「暁様…!」
月城が堪らずに暁の貌を両手で掴み、唇を奪う。
「…んっ…あ…あ…っ…」
合わせるだけのくちづけに飽き足らず、男の舌が暁の柔らかな唇と白い歯列を割り、甘い舌を求め口内を情熱的に彷徨う。
「…んんっ…!…は…ああ…っ…」
男の滑らかな舌が暁の柔らかな舌を探り当て淫らな動きで絡められ、千切れそうになるまで吸われる。
「…暁様…愛しています…」
月城の唇は、暁のほっそりとした白いうなじに移り、舌を這わせ、甘噛みする。
「…ん…っ…!…だ…め…しない…で…」
甘く掠れた声で抗う。
「…貴方が…欲しい…!」
欲情に溢れた月城の低い声が鼓膜に絡まる。
「…だめ…泉くんが…待っているし…」
「…分かっています…今朝もたくさん貴方を抱いたのに…もう貴方に飢えている…欲しくて欲しくて…堪らない…」
狂おし気に囁かれ、耳朶を強く噛まれる。
「…んっ…!…つきしろ…」




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