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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
「今日は半休だったんです。夕方、子どもたちの勉強を見てあげようと思って少し早めに来てみたら…暁様がいらしたから驚きました」
人の良い笑顔で語りかける藍染に暁はふっと肩の力を抜いた。
「…そう。君がよく子どもたちの面倒を見てくれるってシスター達も喜んでいらしたよ」
微笑んで答える暁の貌を、藍染はじっと見つめた。
「…まだ月城さんと蟠りがあるんですね…」
占い師のように言い当てられ、どきりとする。
「だって貴方、凄く哀しそうな貌をされている…」
藍染は暁の隣に静かに腰掛け、貌を覗き込んだ。
それを避けるように俯き勝ちに答える。
「…僕がいけないんだ。…僕が月城を傷付けるようなことを言ったから…彼はもう僕に失望したかも知れない…」
藍染の手が暁の白く華奢な手を握りしめる。
「貴方がそんな風に自分を卑下するなんて、僕には耐えられません。
…月城さんは貴方に相応しいひとでしょうか?
貴方に寂しく哀しい思いをさせ…ましてや貴方を裏切っている。
貴方にはもっと真実の愛を誓う相応しいひとがいるはずだ」
まるで何かに突き動かされたかのように熱い眼差しで掻き口説く藍染に、暁はやや違和感を感じた。
さりげなく手を引き抜きながら、反論する。
「…君が僕の心配をしてくれるのはありがたいけれど…やはり僕は月城を信じる。
彼が梨央さんに恋愛感情を持つとは思えない」
静かに立ち上がり、伏し目がちに告げる。
「…僕は月城を愛している。…これは僕自身の問題だ。悪いけど、もうそっとして…」
不意に暁の身体が藍染の逞しい身体に抱き込まれた。
「…⁈…な…っ…」
藍染が暁を背後から抱きすくめながら、その花のような唇に手を当てる。
愛の言葉を囁くように、柔らかく告げる。
「…相変わらず素直じゃないね。染乃…こんなことはしたくなかったのに…ごめんね…」
「…っ…ん…!…」
…強いアルコールに似た匂いが鼻につく…。
暁は眼を見開いた…。
藍染の手のひらには折り畳まれた布があった。
…何か…薬が…?
抵抗すればするほどに吸い込んでしまい、次第に暁の意識が遠のき始める。
靄が立ち込める意識の中、暁は愛おしい男の名前を呼ぶ。
「…つき…しろ…」
…ぐったりと気を失った暁を、藍染は恋人を抱くように愛おし気に抱きしめる。
整った貌に、陶酔したような笑みが浮かぶ。
「…染乃…やっと僕のところに帰ってきたね…」
人の良い笑顔で語りかける藍染に暁はふっと肩の力を抜いた。
「…そう。君がよく子どもたちの面倒を見てくれるってシスター達も喜んでいらしたよ」
微笑んで答える暁の貌を、藍染はじっと見つめた。
「…まだ月城さんと蟠りがあるんですね…」
占い師のように言い当てられ、どきりとする。
「だって貴方、凄く哀しそうな貌をされている…」
藍染は暁の隣に静かに腰掛け、貌を覗き込んだ。
それを避けるように俯き勝ちに答える。
「…僕がいけないんだ。…僕が月城を傷付けるようなことを言ったから…彼はもう僕に失望したかも知れない…」
藍染の手が暁の白く華奢な手を握りしめる。
「貴方がそんな風に自分を卑下するなんて、僕には耐えられません。
…月城さんは貴方に相応しいひとでしょうか?
貴方に寂しく哀しい思いをさせ…ましてや貴方を裏切っている。
貴方にはもっと真実の愛を誓う相応しいひとがいるはずだ」
まるで何かに突き動かされたかのように熱い眼差しで掻き口説く藍染に、暁はやや違和感を感じた。
さりげなく手を引き抜きながら、反論する。
「…君が僕の心配をしてくれるのはありがたいけれど…やはり僕は月城を信じる。
彼が梨央さんに恋愛感情を持つとは思えない」
静かに立ち上がり、伏し目がちに告げる。
「…僕は月城を愛している。…これは僕自身の問題だ。悪いけど、もうそっとして…」
不意に暁の身体が藍染の逞しい身体に抱き込まれた。
「…⁈…な…っ…」
藍染が暁を背後から抱きすくめながら、その花のような唇に手を当てる。
愛の言葉を囁くように、柔らかく告げる。
「…相変わらず素直じゃないね。染乃…こんなことはしたくなかったのに…ごめんね…」
「…っ…ん…!…」
…強いアルコールに似た匂いが鼻につく…。
暁は眼を見開いた…。
藍染の手のひらには折り畳まれた布があった。
…何か…薬が…?
抵抗すればするほどに吸い込んでしまい、次第に暁の意識が遠のき始める。
靄が立ち込める意識の中、暁は愛おしい男の名前を呼ぶ。
「…つき…しろ…」
…ぐったりと気を失った暁を、藍染は恋人を抱くように愛おし気に抱きしめる。
整った貌に、陶酔したような笑みが浮かぶ。
「…染乃…やっと僕のところに帰ってきたね…」