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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
月城は執務室に鍵を掛け、大紋に椅子を勧めた。
「どういうことなのですか?彼は一体何をしたのですか?」
畳み掛ける月城に、大紋はこれまで見たことがないような難しい貌をしながら、こめかみに指を当てた。
「…ああ。あれは…実に不可解な事件だった。
僕は彼の両親にどうしてもと頼まれて彼の弁護人を引き受けたのだ。
絢子が藍染…藍川の実家の呉服店を懇意にしていた縁でね。
…彼の家は日本橋にある老舗の呉服店を営んでいた。
彼はそこの一人息子で、とにかく母親に溺愛されていた。
あの事件の後、息子が収監されて…母親が半狂乱になって息子を救ってくれ、息子はあの女に騙されたのだと訴えてきたのだ」
益々訳が分からない。
月城は何故か酷く胸騒ぎがし、大紋に懇願した。
「大紋様。どうか最初から事の経緯を説明して下さい」

…そうして大紋の口から聞かされた事実は、驚くべくものであった…。


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