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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
当時まだ18歳の大学生だった藍川には懇ろになった恋人がいた。
…吉原の売れっ子芸者、染乃と呼ばれる藍川より七つばかり年上の女だ。
父親に連れられて行ったお座敷で染乃に出会った藍川は一目で彼女に恋をした。
…染乃は吉原始まって以来の美貌の芸者と噂される誰もが目を奪われるほどに美しく、艶やかで、男心を虜にする女であった。

…雪より白いきめ細やかな肌、優美な三日月の眉、長く濃い睫毛の下に輝くのは射干玉のようなしっとりとした黒い瞳だ。
すんなりと整った鼻筋、紅梅のように艶やかな唇…と、まるで絵物語に出てくるような美しい女であった。

黒く豊かな髪をやや婀娜めいた島田つぶしに結い、しゃらしゃらと鳴る翡翠の簪を刺していたのも実に絵になった。
踊り、小唄、三味線とどれも、優れていたが、取り分けその鈴を鳴らすような声で哀調的に唄う歌が評判で、富豪の旦那衆達はこぞって染乃を座敷に呼びたがった。

藍川の父親は老舗の主人らしく粋に綺麗に遊ぶ男であった。
彼は息子に社会勉強をさせるつもりで売れっ子芸者の染乃を宴席に呼んだのだ。
…それが後々、大変な仇をなすとは露知らずに…。

まだ初恋も覚束ない藍川は、麻疹に罹ったかのような恋に堕ちた。
染乃は染乃で、目の前で自分に情熱的に愛を掻き口説く育ちの良く清廉で美青年の藍川に、次第に惹かれるようになった。
…若い二人が激しい恋に堕ちるのは、赤児の手を捻るより容易いことだったのだ。
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