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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
藍川は若い情熱のままに、母親に懇願した。
「吉原の芸者の染乃を身請けして、妻に迎えたい」
と…。
母親は腰を抜かすほどに仰天した。
藍川は成績優秀で品行方正、帝大にも合格したばかり…加えて日本橋界隈でも評判の美男子の自慢の息子だったからだ。
完璧な息子が事もあろうに吉原の芸者と結婚したいと言い出したのだ。
母親は夫を激しく責めた。
「貴方が芸者遊びなど教えるから、涼一郎は血迷ったのだ」
…と。
父親もまさか真面目で優等生な息子が熱病に冒されたかのように芸者に入れ上げるとは思わなかったので、非常に困惑した。

二人は藍川には内密に、揃って染乃の置屋に因果を含めに行った。



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