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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
その夜、座敷に向かう染乃を藍川は置屋の外で待ち伏せしていた。
甘い白粉の香りをさせ染乃が皮草履を鳴らしながら道ゆくのを、藍川は後ろから攫うように抱きすくめ、羽交い締めにした。
そのまま植え込みの影に引き込まれる。
「誰…⁈」
恐怖に掠れる声を上げる染乃に、藍川が耳元で囁く。
「…僕だよ、染乃。…涼一郎だ…」
「坊ちゃん…⁈何をなさっているのですか⁈」
驚愕の表情を浮かべる染乃に、まるで愛の睦言を囁くように、彼は告げた。
「…君を攫いに来た…」
「…え…⁈」
藍川は夢見るような優し気な微笑を浮かべたまま、染乃を強く抱きしめ、かき口説いた。
「…ついて来てくれ……そして…一緒に死のう…!」
「…坊ちゃ…っ…ん…っ…!」
抗う声は唇ごと青年に奪われ、染乃は骨が砕かれんばかりにその華奢な身体を抱きしめられる。
…押し返そうとするか細く白い手が青年の背中を抱くようになるのに、さほどの時間は要しなかった…。
甘い白粉の香りをさせ染乃が皮草履を鳴らしながら道ゆくのを、藍川は後ろから攫うように抱きすくめ、羽交い締めにした。
そのまま植え込みの影に引き込まれる。
「誰…⁈」
恐怖に掠れる声を上げる染乃に、藍川が耳元で囁く。
「…僕だよ、染乃。…涼一郎だ…」
「坊ちゃん…⁈何をなさっているのですか⁈」
驚愕の表情を浮かべる染乃に、まるで愛の睦言を囁くように、彼は告げた。
「…君を攫いに来た…」
「…え…⁈」
藍川は夢見るような優し気な微笑を浮かべたまま、染乃を強く抱きしめ、かき口説いた。
「…ついて来てくれ……そして…一緒に死のう…!」
「…坊ちゃ…っ…ん…っ…!」
抗う声は唇ごと青年に奪われ、染乃は骨が砕かれんばかりにその華奢な身体を抱きしめられる。
…押し返そうとするか細く白い手が青年の背中を抱くようになるのに、さほどの時間は要しなかった…。