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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
藍川は滑らかな肌の感触を確かめるように暁に触れる。
「…ねえ、染乃。…君はどうして僕を裏切ったんだ?
一緒に死のうと言ったのに…。どうして騙して一人で死んでしまったんだ?」
暁は必死に、触れてくる藍川の手から抗う。
「僕は染乃さんじゃない…!藍染くん、目を覚ましてくれ…」
藍川の瞳に哀しみの色が刷かれた。
「なぜそんなことを言うんだ?染乃!君は染乃だ!
…僕が嫌いになったのか?…僕よりあの男…月城の方が良くなったのか⁈…あんな男…あんな…冷たい男…。
君のことなんかちっとも考えていないような男じゃないか!」
暁と染乃を混同している藍川は、夢と現実の区別が付かぬように…しかし異常な熱を帯びた口調で掻き口説く。

暁はきっぱりと言い放った。
「…僕は、月城を愛している。…例え月城が僕を愛さなくなっても、それでも月城を愛し続ける。
それが僕の愛だ。
僕は染乃さんじゃない。
藍染くん、現実を見てくれ。君の染乃さんはもう亡くなっているんだ。君は、現実を受け止めて生きてゆかなくてはならないんだ」
藍川の眼がぎらりと光った。
無理やり暁の華奢な顎を掴むと強引に唇を奪う。
「…んっ…やめ…て…!…」
「黙れ!…貴方は染乃だ…染乃は生き返ったんだ。
貴方は僕の恋人だ。…だから…これから僕と愛し合うんだ。愛し合って…そして今度こそ…一緒に死ぬんだ…」
熱に浮かされたような言葉と狂気を孕んだ眼差しに暁の全身は怖気立った。
藍川の手が暁が纏う緋色の襦袢に伸びる。
さらさらとした襦袢は容易く男の手によりはだけられてしまう。
「…綺麗だ…染乃…。こんなに身体を熱くして…。
僕を待っていたんだね…?」
身体を弄られ、暁は懸命に男から逃げようとする。
しかし、手首を寝台の真鍮に縛り付けられているので、それすらも叶わない。
しかも攫われた際に嗅がされた薬の影響か、身体が痺れて思うように動かない。
藍川が暁の身体に覆い被さり、ほっそりとした長い脚を割り開こうとする。
「…貴方は僕と結ばれるんだ。…貴方は染乃だ…。
だからこれから貴方を奪う…」
最早支離滅裂な理論を繰り広げながら、藍川は己れのスラックスの前を寛げようとする。

暁の大きな瞳が恐怖に見開かれ、震える声で叫んだ。
「助けて…!月城!…月城…!」
…月城…!お願い…僕を…助けに来て…!
心の中には、愛おしい唯一の男の面影しかなかった。

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