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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
「助けて…!月城!」
玄関の扉を叩き壊す勢いで駆け込んだ廊下から、暁の悲痛な叫び声が耳に届いた。
…暁様…!
月城は暁の声を聞くや否や、錠の掛かった扉を物も言わずに体当たりで押し開く。

「暁様!」
飛び込んだ月城の目の前に広がっている光景に、凍り付く。

…暁は寝台に両手を縛られ、婀娜めいた緋色の肌襦袢を着せられていた。
透き通るように白い肌は露わになり、その肌をあたかも恋人かのように身体を重ねた男が淫靡に弄っていた。
白くほっそりとした長い脚は無理やり押し開かれ、その秘部も淫らに暴かれた痛々しい姿をさせられていた。

月城と大紋が駆け込んだ音に、暁は振り返り…月城の姿を認めた瞬間、その大きな美しい瞳からはらはらと涙が溢れ落ちた。

暁の涙を見た刹那、月城の中に嘗て一度も覚えたことがないほどに強烈で御し難い凶暴な怒りが湧き上がった。
月城は暁に覆い被さる藍川を掴むと、寝台から引き摺り下ろし床に突き飛ばす。
その顎を砕かんばかりに拳で殴りつけた。
馬乗りになり二度、三度…数えきれないほど容赦なく殴りつけると、その首に両手を回し満身の力を込める。
「…貴様…暁によくも…殺す…!貴様を…殺す!」
藍川の首がぎりぎりと締め上げられる音が、部屋に響き渡った。
藍川の苦しげな呻き声が聞こえた瞬間、大紋が月城を背後から羽交い締めにした。
「月城、よせ!これ以上手を下すと正当防衛ではなくなってしまう!」
「手を離して下さい!私の暁を酷い目に合わせたこんな奴、死をもって償えばよいのです!」
大紋を払いのけ、尚も藍川の首を絞めようとする月城の背中に、暁の弱々しい…しかし凛とした声が響いた。
「もういい…月城…僕は大丈夫だから…。こんなことで、君が罪を問われたら嫌だ…」
はっとしたように、月城の手が止まる。
藍川は抵抗もせずに茫然としていたが、やがて暁の方をゆっくりと見つめた。

暁は子どもに言い聞かせるように、優しく語りかけた。
「…僕は染乃さんじゃない。…君の染乃さんは死んだんだ。…誰も君の染乃さんの代わりにはなれない。
…だから、君は君自身で生きて行くんだ。…染乃さんの分まで…彼女の想いを抱いて…」

藍川の瞳が大きく見開かれる。
そしてその眼が苦しげに歪んだかと思うと…彼は声を放ってまるで子どものように泣き始めた。
その胸に響くような慟哭は、いつまでも止むことはなかった。
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