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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
月城は、寝台に横たわる打ち上げられた人魚姫のように真珠色に濡れた背中を見せながら、甘い吐息を漏らす暁を熱く見つめた。
…こんなにも美しいひとを、未だに見慣れることがない…。
感嘆にも似た気持ちで飽かずに眺める。
数えきれない情交の果て、絶頂に達した暁は意識を手放した。
その珊瑚色の唇からは、無意識の譫言が漏れる。
「…愛してる…月城…」
月城は暁を抱き起こし、やや乱れた前髪を優しく撫でる。
濃く長い睫毛が白く透き通る肌に影を落としている。
細く整った鼻梁、花の色を写したような可憐な唇…。
二十代と言っても納得するような瑞々しい顔立ちは未だに変わらない。
…その華奢で儚げな身体と共に…。
この身体があの男に穢されないで、本当に良かった…。
月城は安堵の吐息をつく。
もしあのまま、暁が犯されていたら…。
自分は間違いなく藍染を殺していた。
善悪や倫理や法律…全てを飛び越えてその選択をしたであろう自分に、月城はもう驚かなかった。
…私は、もはや暁様なしには生きてはいけないのだ…と。
…と、同時に藍染の胸に響き渡るような慟哭が耳に蘇る。
絶望と哀しみの果ての慟哭であった。
藍染は染乃を心から愛していたのだ。
染乃に似た面差しの暁に、糸より細い希望を見出し、常軌を逸してしまったに違いない。
…自分も、もし暁様を喪ったらあのような姿を晒すのだろうと…。
だから藍染のしたことを決して許せはしないが、微かな同情の念は抱いたのだ。
…そして、彼を紙一重の世界にいざなうほどに…暁様には無意識の魔性がおありなのだ…。
月城は腕の中の美しくも妖しい恋人の貌を飽かずに見つめる。
「…暁…。愛しているよ…。死ぬまで一緒だ…」
もう数えきれないほどに繰り返した愛の言葉を、その無垢な唇に吹き込むのだった。
…こんなにも美しいひとを、未だに見慣れることがない…。
感嘆にも似た気持ちで飽かずに眺める。
数えきれない情交の果て、絶頂に達した暁は意識を手放した。
その珊瑚色の唇からは、無意識の譫言が漏れる。
「…愛してる…月城…」
月城は暁を抱き起こし、やや乱れた前髪を優しく撫でる。
濃く長い睫毛が白く透き通る肌に影を落としている。
細く整った鼻梁、花の色を写したような可憐な唇…。
二十代と言っても納得するような瑞々しい顔立ちは未だに変わらない。
…その華奢で儚げな身体と共に…。
この身体があの男に穢されないで、本当に良かった…。
月城は安堵の吐息をつく。
もしあのまま、暁が犯されていたら…。
自分は間違いなく藍染を殺していた。
善悪や倫理や法律…全てを飛び越えてその選択をしたであろう自分に、月城はもう驚かなかった。
…私は、もはや暁様なしには生きてはいけないのだ…と。
…と、同時に藍染の胸に響き渡るような慟哭が耳に蘇る。
絶望と哀しみの果ての慟哭であった。
藍染は染乃を心から愛していたのだ。
染乃に似た面差しの暁に、糸より細い希望を見出し、常軌を逸してしまったに違いない。
…自分も、もし暁様を喪ったらあのような姿を晒すのだろうと…。
だから藍染のしたことを決して許せはしないが、微かな同情の念は抱いたのだ。
…そして、彼を紙一重の世界にいざなうほどに…暁様には無意識の魔性がおありなのだ…。
月城は腕の中の美しくも妖しい恋人の貌を飽かずに見つめる。
「…暁…。愛しているよ…。死ぬまで一緒だ…」
もう数えきれないほどに繰り返した愛の言葉を、その無垢な唇に吹き込むのだった。