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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第2章 初戀のひと
それから数日後の、日曜日。
暁と月城は縣家の客間にいた。
泉が縣家の下僕として正式採用された礼を、月城が述べるためだった。
暁と月城が一緒に縣家を訪れるのは、二人の仲を礼也に打ち明けてからは初めてのことだった。

暁は月城と一緒に家を訪問出来る嬉しさで一杯だった。
と、同時に決して月城を嫌ってはいないが、彼に対して複雑な想いを秘めているだろう兄が、どう反応するのかも心配ではあった。

暁は隣に座る月城を見上げる。
執事の制服ではなく、上質な濃灰色のスーツに身を包んだ月城は相変わらず美しく、暁は何回彼を見ても見飽きることがない。
けれどその彫像のように冷ややかで完璧な美貌が、いつもより少しだけ、不安気な…落ち着かない色を浮かべていることも、暁には分かっていた。
…泉くんのことが心配なんだな…。
口には出さないが、ごく普通の兄らしい感情に揺れている月城を愛おしいと暁は思った。
暁はそっと、膝の上で組まれている月城の手を握りしめた。
「…暁様…」
月城が暁を見つめる。
「…大丈夫だよ、月城…」
まるで月城を励ますように笑いかける暁の手を月城は、強く握り返した。

客間のドアがノックされ、礼也が入って来た。
月城はすぐ様に立ち上がる。
礼也は月城に、椅子に掛けるようにとジェスチャーをし、自分も二人の前に座った。
「…久しぶりだな、君に会うのも」
礼也は人好きする笑みを浮かべた。
月城は頭を下げる。
「ご無沙汰しております。…縣様、この度は私の弟がこちらでお世話になることになりまして、誠にありがとうございます。…不出来な弟ではありますが、何卒よろしくお願い申し上げます」
礼也は、緊張気味の月城の心を解すように話しかける。
「…君に良く似た美男子だな。…しかし、性格は君に似ず少しやんちゃなようだ」
月城は素直に困惑したように俯く。
「…お恥ずかしい限りです。こちらの皆様にご迷惑をお掛けしないと良いのですが…」
「気にするな。まだ二十歳の若者だ。…君に似て気骨があるようだし、うちの生田が厳しく育ててくれるだろう。私も彼の成長が楽しみだよ」
礼也の温かい言葉に、月城は心から感謝する。

礼也は、暁に眼を向ける。
月城の隣に、まるで伴侶のように寄り添う暁は兄の眼から見ても、眼を見張るばかりの美しさに光り輝いている。






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